金利低下でも高水準の収益を維持
3メガ銀行は、金利低下期でも、安定的に高収益を稼いできました。「金利が下がると銀行の収益が悪化する」というイメージとは、異なります。
3メガ銀行の連結純利益:2014年3月期実績~2022年3月期(会社予想)
すでに冒頭で説明した通り、三菱UFJ・三井住友FGの今期(2022年3月期)第3四半期までの実績は良好な内容でした。みずほはやや見劣りするものの悪くない決算でした。
3社とも、通期純利益見通しに対し、第3四半期までの進捗率がきわめて高くなっています。三菱UFJは目標をすでに超える102%の達成です。三井住友は93%、みずほは90%と高い進捗率となっています。通期見通しは保守的(低め)で、上振れする余地が高いと考えられます。
上の表をご覧いただくと、「金利が下がるとメガ銀行の利益が出なくなる」という株式市場の思い込みが誤りであることがわかると思います。
三菱UFJ、三井住友FGの連結純利益は、2019年3月期まで、長期金利がどんどん低下していく中でも安定的に高収益をあげています。みずほは、2019年3月期に国内商業銀行部門に帰属するソフトウエアの減損(特別損失)を出したため利益水準が低くなっていますが、本業利益は高水準でした。
つまり、3メガ銀行とも、2019年3月期まで、金利が低下する中で安定的に高収益を稼いできました。
2020年3月期・2021年3月期はコロナ禍で信用コスト(貸倒償却および貸倒引当金繰入額)が増加したことによって、利益水準がやや下がりましたが、それでも高水準の利益を維持していたと評価できます。
今期(2022年3月期)は、コロナ前の水準に利益が戻る見込みです。想定されたほど貸倒れが発生していなかったことから、貸倒引当金の戻入益が大きくなっていることが貢献しています。
与信コストの大幅減少が貢献して、三菱UFJは今期、最高益を更新する見通しです。低金利でも稼ぐメガ銀行の姿がよく表れています。
3メガ銀行の与信コスト:2020年3月期~2022年3月期(第3四半期まで)
みずほの収益力がやや低いですが、三菱UFJと三井住友FGについては、海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・投資銀行業務などの多角化)によって、低金利でも高収益を稼ぐビジネスモデルができあがっていると考えられます。
三菱UFJに続き、三井住友FGも将来、純利益で最高益を更新していく力があると考えています。