メガ銀行の今期利益は一時的要因でかさあげされている

 3メガ銀行の今期純利益は高水準ですが、その中に一時的要因が含まれていることには注意が必要です。貸倒引当金の戻入益が大きくなっていることです。これは、前期・前々期の貸し倒れの見積額が大きすぎたことによって生じているものです。

 つまり、前期・前々期に貸倒引当金を過剰に繰り入れし、その分、前期・前々期の利益が低下したものが、今期になって戻ってきているという形です。

 貸倒引当金の戻りが大きいのは一時的です。来期になると、それが純利益を押し上げる効果は剥落します。貸倒引当金の戻りが減少することが、来期の減益要因となります。

 今期の純利益が貸倒引当金の戻りによって押し上げられていることは、3社の業務純益を見るとわかります。

3社の今期第3四半期までの業務純益

出所:各社決算資料より作成

 業務純益とは、一般企業の営業利益に当たるもので、銀行の本業の収益力を示します。与信コストの変動は、含まれません。その業務純益で見ると、三菱UFJは減益、三井住友・みずほは11%台の増益です。純利益に比べると、増益率は低くなっています。

 業務純益には、コロナの影響があまり及んでいません。コロナ禍で落ち込むこともありませんでしたが、コロナの影響が薄れても、反動で増加する形とはなっていません。

 銀行の利益変動を見る場合、純利益が一番大切なのは言うまでもありませんが、業務純益の変動も併せて見ていく必要があります。業務純益で見ると、今期の決算は特別に良い決算というわけではありません。

 ただし、今期増益に一時的要因が大きいことを考慮してもなお、3メガ銀行の株価が割安で、長期投資することで資産形成に寄与するとの私の判断は変わりません。

 最後に告知事項です。筆者は過去に三井住友銀行に勤務したことがあり、三井住友FG株を9,000株保有しています。

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