長期分散積立投資の市場実績を検証する

 実際の長期分散投資を、米国株式での定時定額(積立)投資で検証してみます。約30年前の1991年初に3万円を米国株式(*)に投資し、その後も毎月末に3万円を継続的に投資してきたケースを振り返ってみます(図表3)。

(*)S&P500総収益指数に連動するインデックス投信やETF(上場投資信託)をイメージ。

 2021年11月までに371回の定時定額投資(毎月3万円)を実践してきたと想定すると、累計投資額(簿価)は1,113万円(=3万円×371回)となりました。

 同期間における「ドルコスト平均法」と「複利運用」の効果で、投資元本の時価評価額は約7,730万円に膨らんできました(11月時点)。定時定額投資をこつこつと実践した結果、投資元本が約30年で約7倍に増えてきたことがわかります。

図表3:注目したい長期積立投資の意義(市場実績)

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年11月末)

 投資環境の変化や市場心理の揺れで、株価や為替(ドル/円相場)は一時的に乱高下したことはあります。したがって、投資資金の時価総額が一時的にせよ減少する可能性を許容できる「リスク許容度」は自ら点検するべきです。

 ただ、上述したようなシンプルな資産形成を長期の時間軸で実践することで資産を増やすことが可能だったことが「米国株への長期分散積立投資」の本質と言えます。

 ちなみに、米国市場の幅広い銘柄に分散投資する公募型投信はS&P500指数に連動を目指すインデックス・ファンドだけではありません。

 例えば「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))は、マザーファンドを通じて「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(米国籍ETF:VTI)に投資する追加型投信で、運用資産総額が約4,611億円に増加してきた人気ファンドです(運用:楽天投信投資顧問)。

 同ファンドは「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果を目指し、原則為替ヘッジは行いません。VTIは、米国株式市場全体の動きに連動する投資成果を目指し、大型株から小型株まで約4,000銘柄に幅広く分散投資している米国籍ETFです。

 楽天・全米株式インデックス・ファンドの基準価額の年初来騰落率は+41.0%(12月28日時点)となっています。本年は、米国株堅調にドル/円相場の上昇(円安)効果が加わるダブルリターンを享受しています。

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