2022年に向けて警戒されるリスク要因を整理する

 以前本稿で筆者がご説明したとおり、米国株式は2022年も堅調傾向をたどると考えています。2022年末までにS&P500は5,000ポイント超に到達するメインシナリオを描いています。

 オミクロン型変異株という新たなパンデミック・リスクが広まるなかでも、世界経済の回復は続くと考えられ、世界の実質GDP(国内総生産)成長率は2021年の+5.8%に続き、2022年も+4.4%(市場予想平均)と巡航速度で拡大を続けると想定しています。

 新型コロナウイルスの危機により、世界(特に先進国と途上国)は一段と分断される可能性がありますが、米国市場については過去最高益を更新する業績(予想EPS:1株当たり利益)拡大に沿った株高基調を見込んでいます。

 ただ、コロナ禍からの需要回復に追い付かない供給制約を主因とするインフレ圧力は2022年前半まで金融政策の正常化を巡るプロセスに影響を与え、株式が一時的に荒れる局面も考えられます。

 図表3は、2022年の株価の押し下げ圧力につながりそうな潜在的リスク要因を概略として一覧したものです。どれも慎重な連想の域を出ない要因とも言えますが、それぞれのリスクが顕在化した時には株価がいったん下落する場面を余儀なくされそうです。

 こうしたリスク要因をあらかじめ頭の片隅に置いておくことで機動的な押し目買いに備えたいと思います。

<図表3:2022年に向けて警戒される潜在的リスク要因>

(出所)楽天証券経済研究所作成

 上述したようなリスク要因の潜在化とその影響度の大きさ次第では、2022年の米国株が2021年よりもボラティリティ(変動性)が高まる可能性も否定できません。

 とはいうものの、経済成長に沿った業績の伸びと金利の相対的な安定をベースにして、2022年を通じては堅調な株価の軌道を想定しています。短期的な株価変動は通常の相場につきものと考えられます。

 新年も資産形成のコア(中核)として長期的な視野に立った米国株への積立投資(定時定額投資)を継続していきたいと思います。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年12月10日:日本株に戻り余地はある?「騰落レシオ」でわかること
2021年12月3日:S&P500 or ナスダック100 、2022年に投資するならどっち?
2021年11月26日:米国株はインフレ懸念に耐えられる?2022年S&P500はいくら?