ハンセン指数は持ち合い圏で推移、上海総合指数は戻り歩調
この1カ月間の市場の動きを振り返ってみると、ハンセン指数は持ち合い圏での推移、上海総合指数は11月上旬を底値に戻り歩調となっています。
2021年1月以降の主要株価指数の動き
景気見通しの悪化、不動産業界をはじめとした当局による規制強化、米国におけるインフレ、金利上昇懸念などがこれまでの下げ要因で、一方、本土の金融緩和期待、資本市場改革の進展による資金流入が上げ要因だと考えています。
本土における金融緩和期待
今後の市場見通しにおいて重要なポイントを二つ挙げるとすれば、一つは本土の金融緩和期待、もう一つは資本市場改革の進捗(しんちょく)です。
まず、金融緩和期待についてですが、19日に発表された中国人民銀行第3四半期金融政策執行報告をみると、国内外の経済見通しがさらに慎重になっており、今後の金融緩和を示唆する部分があります。
「世界はこれまでの百年間でなかったような大変革局面を迎えており、そこに新型コロナ禍が全世界に流行するといったことが重なり、外部環境はさらに複雑、厳しくなっている。国内経済の回復発展は階段状に進むが、それによる制約がある。構造要因、景気循環要因からの制約もあり、経済の安定的な運行を保持することの難易度が高まっている」といった現状認識を今回初めて示しています。
加えて、これまでずっと使われてきた「大量の水を農地に灌水するような流動性の供給は行わない」といった表現が見あたりません。「国内外の経済情勢のマージナルな変化に関する分析を強化し、信用貸出の総量の伸びの安定性を高め、景気循環を打ち消すような形での流動性の調整をうまく行う」としています。
当局は足元の景気に対してとても敏感になっています。景気の悪化がさらに深刻になるようであれば、預金準備率の引き下げや、オペレーション、新しい政策ツールなどによる機動的な流動性の供給が行われるでしょう。これは本土株式市場に対しては直接的な効果があり、香港市場に対しては景気見通しの改善を通じて間接的な効果があるでしょう。