仮想の三次元空間!メタバース関連に注目

 今月の注目セクターはメタバース関連です。

 メタバース(Metaverse)とはmeta(超越した)とuniverse(世界)を組み合わせた造語で、インターネット上で構築される仮想の三次元空間を意味します。

 その空間の中で自身の分身となるアバターを操作して、いろいろな体験ができるのですが、今後それが単なるゲームを超えて利用範囲が大きく広がるとみられています。

 日本では昨年、任天堂(Nintendo Switch)の“あつまれ どうぶつの森”が大ヒットしましたが、あの世界観をそのままにして現実と区別できないような空間を作り上げることができるとすれば、利用者は圧倒的に増えるでしょう。

 メタバースの中にある土地、家、家具、衣服、宝石からペット、気の合う友人に至るまで、何でも手に入るとすれば、どうでしょうか。

 どうぶつの森には興味が無くとも、天国には興味がある方、桃源郷に行ってみたい方、あるいはもう亡くなってしまった親しい人たちが暮らす楽しかった過去に行ってみたい方はたくさんいるのではないでしょうか。メタバースの潜在需要は無限大です。

 関連銘柄は多彩です。ゲーム、AR/VR、AI、クラウド、3D画像処理技術からインターネット、モノのインターネットまで、対象となる銘柄は広範に及びます。

 旧フェイスブックは、社名を“Meta Platforms”に変更するほど、この分野に力をいれています。教育面での悪影響から規制が強化され、足元では業績が伸び悩むテンセントですが、全力でメタバース関連の有望投資先を探しています。

 そのほか、アリババ、バイドゥ、ティックトックなど、中国を代表するハイテク企業が積極投資を開始しようとしています。今まさに、メタバース産業は立ち上がろうとしているところです。

 北京証券取引所を含め、本土新興市場にはたくさんの有望銘柄がありますが、残念ながらそのほとんどについて、外国人は売買できません。しかし、香港市場にも有望銘柄はあります。今回はその中から以下の5銘柄をピックアップしました。

注目の中国株1:柏能集団(01263)

 民営の電子部品メーカーです。主力製品はグラフィックカードで売上高(2021年6月中間期、以下同様)全体の87%を占めています。そのほか、ATM、POSシステムなどの受託生産が6%、PCやPC関連部品などが7%を占めています。

 グラフィックカードでは世界的な大手であるNVIDIA、AMDのODM/OEMを行っていますが、最近では自社ブランド品(ZOTAC、Inno3D、Manli)が伸びています。

 販売先はグローバルに広がっていて、アジア(中国、インドを除く)が33%、北米、南米が16%、中国が26%、EU(欧州連合)、中東、アフリカ、インドが25%です。

 2021年6月中間期は108%増収、2,838%増益でした。2020年9月から販売を開始したRTX3000シリーズが品薄状態で、価格が急騰しました。

 世界的にメタバースへの関心が高まる中でグローバル投資家は、その基礎となるグラフィックカードの主要メーカーであるNVIDIA、AMDなどに注目しています。同社はこの2社のODM/OEM元として注目されていますが、自社製品の開発が進んでおり、これら2社に匹敵する規模の企業になる可能性を秘めています。

 短期的には半導体メーカーの生産能力がボトルネックとなり、今後、2~3年はビデオカードの需給もひっ迫した状態が続くとみており、価格の高止まりが予想されます。

 唯一の心配は、中国政府が暗号資産のマイニングを禁止したことによるビデオカード市場への影響ですが、2017年の段階で大きな調整は済んでおり、また、海外での需要は落ちていません。同社の業績に与える影響は小さいとみています。