すでに一般NISAで投資を行っている人が気をつけたいポイント

 最後に、すでに一般NISAで投資を行っている人が気をつけたいポイントについて触れておきます。

 例えば、2021年まで一般NISAの枠で投信の積み立てをしてきた人が、2022年からつみたてNISAに区分(勘定)変更を行い、この枠で投信の積み立てをはじめるとします。この場合、2021年まで一般NISAで積み立ててきた投信は、非課税期間内はそのまま非課税で運用を継続することができます(解約も可能)。ただし、一般NISA内で運用している投信を、非課税期間終了時に新たな一般NISA(2024年からは新NISA)枠にロールオーバーすることはできなくなります(非課税期間5年を超えて保有したい場合には課税口座への移管になる(*2)。つみたてNISAに商品を移管することもできない)。

 そのため、課税口座に移管するときに基準価額が大きく下がっているような場合は、(特定口座を利用した場合に比べて)課税強化になる可能性もあることは注意が必要です。つみたてNISAに変更する場合には、出口(例えば非課税制度終了より前でも上昇しているときに課税口座に移管するなど)は考えておく必要があります(*3)

 一方、一般NISAでは非課税期間終了時に年間投資上限額120万円を超えた分も含めてすべてロールオーバー(翌年の新たな非課税投資枠への移管)ができるようになっています(*4)。新NISAでも同様の扱いになります。年間40万円を超えて投信や株を購入していける人は、制度が存続する限り、一般NISA・新NISAを活用し続ける(ロールオーバーする)という選択肢もあります。

 ただし、注意点もあります。一般NISAは2024年から新NISAに衣替えし、5年延長されますが、新NISAは2階建てとなり、ロールオーバーも含めてより複雑化します。制度について理解できること・使いこなせることが大前提となります(新NISAについては「2024年から新NISAがスタート。一般NISAとつみたてNISAの合体版」をご覧ください)。株式や海外ETF(上場投資信託)などに投資するなら、一般NISA・新NISA枠を利用することになりますが、投資信託の積み立てに関しては、シンプルなつみたてNISAに切り替えることを検討してもいいかもしれませんね。

*1 法令上、つみたてNISAのロールオーバーは規定されていません
*2 一般NISAで新たに投資できるのは2023年まで。制度の延長が決まらない場合、2024年以降ロールオーバーはできなくなる
*3 制度的には毎年一般NISAとつみたてNISAを選択することができるので、ロールオーバーしたいときだけ一般NISAを選択することは可能。ただし、その年はつみたてNISAの枠は使えない。また、口座変更や管理の手間はかかる
*4 非課税期間5年経過時にロールオーバーする場合。NISAは非課税期間5年が経過する前でも、任意の時点でNISA口座にロールオーバーすることも可能だが、その場合は、ロールオーバー先の年の非課税枠(一般NISAは120万円、ジュニアNISAは80万円)の範囲内でしかロールオーバーを行うことができない