テスラの時価総額1兆ドル超で「GAFAMT」の時代が到来

 こうしたなか、投資家の関心は上場来高値を更新したEV(電気自動車)最大手であるテスラ(TSLA)に集まっています。同社が10月20日に発表した第3Q(7-9月期)決算では、売上高が前年同期比で+57%、純利益は前年同期の約4.9倍と市場予想を大きく上回る好調を示しました。

 半導体など部材調達に成功して販売量を増やし、25日には米レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングスがテスラから約10万台のEVを購入すると表明しました。

 テスラの株価は急伸しており、年初来騰落率は+47.1%とS&P500種指数(同+21.2%)やナスダック100指数(同+21.0%)をしのいでいます。

 テスラの時価総額は10月に初めて1兆ドルを突破し、米国市場でGAFAM(アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック)に分け入り「時価総額1兆ドルクラブ」の仲間入りを果たしました。

 ハーツに象徴されるレンタカー業界でのEV受注が増加すれば、法人需要の本格的拡大でEV需要に弾みがつく可能性があります。

 テスラの2021年の販売目標は75万台超とまだトヨタ自動車の10分の1にも達していませんが、世界的な排ガス規制を追い風にするEV業界を先導する存在感で、その時価総額は約118兆円とトヨタ(約32兆円)の約3.7倍まで膨らんでいます。

 図表4は、ナスダック100指数構成銘柄の時価総額上位10社を示したものです。大手6社の年初来平均騰落率は+31.7%となっており、S&P500種指数の上位構成銘柄と重複しています。

「GAFAMT」の時価総額は約1,190兆円に膨らんでおり、TOPIX全体(2,180銘柄で総計約444兆円)の約2.7倍となっています。GAFAMTの時価総額はS&P500種指数の時価総額において約26%を占めています。

 デジタル革命(DX)分野におけるイノベーションを先導する銘柄群が米国株堅調をけん引している状況を鮮明にしています。

図表4:GAFAMTはナスダック100指数の上位6社

*上記はナスダック100指数構成銘柄を時価総額の降順に示したものです。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年10月27日)

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