なぜ?ハンセン指数が下げた要因
まず、ハンセン指数が下げた要因から整理してみると、中国政府によるハイテク企業への管理(統制?)強化、「共同富裕」を大目標に掲げる中国共産党に対する政治的な懸念、中国恒大集団の破綻危機などです。
香港市場のメインプレーヤーである欧米機関投資家の多くは、こうした点を強くリスクとして意識したといえるでしょう。
一方、本土市場のメインプレーヤーである国内個人投資家たちはこうした点を大きなリスクとは捉えていません。共同富裕についてはむしろチャンスだと捉えているとみられます。
ハイテク企業への管理強化ですが、これまでが異常でした。
アリババ集団傘下のアントフィナンシャルが直前で上場延期となったのは、金融業監督管理委員会の監督管理体制の下で事業が構築されていなかったからです。アリババ、美団などが独占禁止法に問われたのは、業者に対して、自分たちを選ぶか他社を選ぶかを迫るといった二者択一を常習的に行ってきたからです。
教育関連産業は教育を営利事業とし、授業料を吊り上げ、受験競争をあおったから、滴滴出行は収集した個人情報を違法に事業に利用したから、ゲーム会社は子供の教育上望ましくないゲームを普及させ、勉強がおろそかになるほど夢中になるのを自ら管理しなかったからです。
そして、中国恒大集団は、当局が長年不動産価格抑制政策を続ける中、極端に大きな財務レバレッジをかけて開発を加速させ、海外進出を進め、事業の多様化を進めたからです。
2021年に入り、第14次五カ年(十四五)計画が始まりました。これからは鄧小平理論の後半部分、“先に豊かになった人、地域が後から豊かになる人を助ける”時代が始まります。それが「共同富裕」の実現です。
習近平国家主席が主導し、国家体制改革など国家の重要事項を議論する場である中央財経委員会会議(第10回)が8月17日に開催され、共同富裕を促進させる方針が決まりました。
興味深いのはその後のハイテク企業の動きです。
アリババ集団は9月2日、中国指導部が掲げた「共同富裕」を支援するために2025年までに1,000億元(1兆7,000億円、1元=17円で計算)を投じ、「5つの方面から10の行動を起こす」と発表しました。
5つの方面とは、(1)科学技術イノベーション、(2)経済発展、(3)質の高い就業、(4)弱者に対して愛情をもって関心を示す、(5)共同富裕基金といった項目です。10の行動とは以下の通りです。
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