投資銘柄選別でESG基準とどう付き合うべきか

 私がファンドマネージャーの時、ESGを重視して運用していました。特にG(ガバナンス)をとても重視していました。それが、投資で好パフォーマンスをあげるのに重要だったからです。ガバナンスで不祥事を起こす企業の株価が暴落することが頻発する時代になったので、ファンドマネージャーとして当然のことでした。

 Gの次に、E(環境経営)を重視していました。それも、好パフォーマンスをあげるために必要でした。と言っても、欧州主導で作られている既存のESG基準のEは無視していました。私が地球環境にとって有益と考えることに貢献する企業を評価していました。私が運用していた年金基金・投資信託は、ESG基準に縛られる必要のないファンドでしたので、既存のESG基準ではなく、独自に考える基準で運用できました。

 欧州の基準と、私が考える基準の最大の違いは、化石燃料を効率利用する企業の評価です。欧州基準では評価されない、化石燃料の効率利用に貢献する企業を私は高く評価していました。省エネ・環境技術にすぐれた企業が、高いコスト競争力を持ち、結果的に株価のパフォーマンスも良くなるので、ファンドマネージャーとして環境・省エネ技術を重視するのは、当然のことでした。たとえば、トヨタ自動車(7203)のハイブリッド車や、三菱商事(8058)三井物産(8031)のLNG技術を、私は高く評価していました。大手総合商社が展開する石炭事業の将来が懸念される時代になっていますが、LNG事業にはこれからも発展余地が大きいと思っています。

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