日本企業が得意とするLNG活用は過小評価

 LNG(液化天然ガス)活用が世界でもっとも進んでいるのが日本です。日本企業はLNG活用に必要な技術やインフラをたくさん保有しています。ところが、それは既存のESG基準で評価されません。LNGも化石燃料だからです。

 世界各国で使われている天然ガスのほとんどは、ガス田から直接パイプラインで運ばれてきたガスです。何千キロも離れた遠くまで、パイプラインでガスを運ぶことが可能です。LNGに転換して運ぶとコストがかかるので、パイプラインで運ぶことが可能な範囲でしかガスを活用していません。パイプラインで運べないガスは焼却処理されます。現在も、中東の油田で、原油の副産物として出てくるガスは、パイプラインで運んで使うことができなければ焼却しています。たった今も、中東の油田ではガスを燃やす大きな火柱が上がっています。

 一方、日本は中東などの天然ガスをLNGに転換してLNGタンカーで運んで使っています。日本が海に囲まれていることもあり、日本はパイプラインではなくLNGにして、ガスを輸入しています(サハリンからパイプラインでロシア産ガスを入れることは技術的には簡単ですが、北方領土問題が未解決なので実現していません)。

 世界中の国々が日本のようにもっとLNGを使う方向に舵を切れば、油田で焼却されるガスは減らせます。ところが、その取り組みがなかなか進みません。日本企業がLNG活用で大きな貢献をしていても、既存のESG基準であまり評価されません。