電気で動かせば何でも「善」?化石燃料を使えば何でも「悪」?

 究極のエネルギー循環社会では、人間が使う動力のほとんど全てが「電気」になります。人類が使うエネルギーをすべて電気とし、その電気をすべて自然エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・・・)から作れば、それでエネルギー循環社会の完成です。完成まで紆余曲折あると思いますが、私は実現可能【注】と考えています。

【注】人類が使う電気をすべて自然エネルギーでまかなうのは可能か?
「実現可能」という私の意見に対し「そんなことできるはずない」とコメントをお寄せいただいている方もいらっしゃいます。実現可能と考える根拠を、以下のレポートに書いています。ご参照ください。
2021年1月26日:2050年の「脱炭素」は可能?3つの障害と化石燃料との向き合い方

 今のESG基準、特に欧州主導で作られている基準で、究極のエネルギー社会実現を先取りして作られているのは良いのですが、そこに至る過程で、必要なものに対する配慮に欠けていると思います。電気で動かすものは何でも「善」、化石燃料を使えば何でも「悪」と決めつけていることです。化石燃料を世界一効率的に利用する技術を持っている日本企業の価値をまったく認めようとしない側面があります。

 日本企業は、1970年代のオイルショック以降、環境・省エネ技術で世界の最先端を走っています。つまり、化石燃料を世界一効率的に使用する技術ではトップを走っています。ところが、脱炭素・電動化では出遅れています。欧州主導のESG基準では、こうした日本企業は低く評価されます。