2020年12月に水素関連株ブームが起こった理由
2020年11月3日米大統領選でバイデン大統領が勝利してから、世界的に「脱炭素」関連株のブームが起きました。
米大統領が、脱炭素を否定して化石燃料産業の復興に力を入れていたトランプ元大統領から、脱炭素を重要な政策の柱とするバイデン大統領に代わるインパクトは、世界全体にとってきわめて大きいからです。
2020年12月には株式市場で、バイデン政権への期待から、脱炭素関連株が一斉に上昇しました。水素エネルギーの活用は、脱炭素の重要な柱の1つなので、水素関連株も買われました。
米国は、バイデン大統領が就任してすぐの2月19日、トランプ元大統領が離脱したパリ協定(CO2排出削減を目指す国際協定)へ復帰しました。米国が脱炭素陣営に加わったことで、世界的に脱炭素の流れが加速することが決定的となりました。
米国に加え、自動車や石炭火力からの排ガスによる大気汚染が深刻な中国やインドなど新興国も、脱炭素の目標を示すようになりました。
これには2つの理由があります。
【1】化石燃料を燃やし続けることが、大気汚染や地球温暖化などの環境破壊につながっている事実を無視できなくなった。
【2】太陽光や風力を活用した発電技術が格段に進歩。自然エネルギーによる低コスト発電が可能となってきた。
近年の技術革新で注目すべきは、自然エネルギーによる発電コストの低下です。
かつて自然エネルギーによる発電で、発電コストが低いのは「水力発電」と「地熱発電」だけでした。それ以外はコストが高く、政府などによる補助金がないと育成できないと考えられていました。しかしそれは、今では昔話です。
近年は、発電コストの低下で、商業ベースで流通させられる自然エネルギーが増えてきました。たとえば、太陽光発電は、政府による補助金が無くても、商業ベースで流通させられる「グリッド・パリティ」を達成しつつあります。洋上風力なども、コスト競争力が高まっています。