水素関連株との付き合い方

 これから水素エネルギーが、第4次産業革命(ITによる技術革新)とともに、株式市場で注目される重要テーマになると思っています。そのテーマに乗る株を買ったらもうかりそうに思うかもしれませんが、それがそう簡単ではありません。

 水素エネルギーは、付き合うのがとても難しいテーマです。なぜならば、今はまだ先行投資期だからです。将来のために、たくさんの企業が赤字でも歯をくいしばって、水素事業に投資しているところなのです。

 利益が出るのは遠い将来だが、大きな夢がある「水素関連株」とどう付き合ったら良いのでしょうか? 以下、2つの方法が良いと思います。

【1】下がったところで買い、上がったら売り

 水素関連株の人気が去って株価が下がっている時に少しずつ買っていきます。そして何かのきっかけで水素が人気テーマとなり、株価が勢いよく上昇していく時には、少しずつ売っていきます。

 赤字のテーマ株は、株価が急騰している時ではなく、株価が下がっている時に少しずつ買うのが良いと思っています。

 私がファンドマネージャーの時、東証マザーズのバイオ株など、赤字の成長株は下がっている時に買い、上がったら売りの繰り返しでした。バイオは、何度でも繰り返す重要テーマなので、人気が無い時に買って辛抱していると、定期的にブームがやってきました。水素関連も、そのような動きになると思っています。

 今、水素関連株の多くは株価が調整中なので、少しずつ買っていく局面と思います。

【2】水素以外の事業でしっかり利益が出ている株に長期投資

 水素事業では利益が出ていなくても、水素以外の事業でしっかり利益を出していれば、理想的です。「夢はあるが利益がない」水素事業と、「夢はないが利益が出る」事業がうまく組み合わさった会社が理想的です。

 トヨタ自動車(7203)はその良い例です。ガソリン車で大きな利益を稼いでいます。燃料電池車MIRAIで利益が出なくても、気になりません。ただし、ガソリン車事業の利益変動が激しいので、ガソリン車事業の利益変動には気をつける必要があります。

 ENEOS HD(5020)も、同じです。水素ステーションでは利益が稼げていませんが、総合エネルギー企業として安定的に利益を出し、予想配当利回りが4.7%(1株当たり配当金22円を8月2日株価469.7円で割って算出)と高いので、高配当利回り株として長期投資する価値があると判断しています。