水素関連株にもいろいろある

 先程、水素関連6社として、合成株価を作成するのに使ったのは、以下6社です。ただし、以下の6社がすべて買い推奨ではありません。水素エネルギー推進のために重要な役割を果たしている企業として紹介します。

水素関連6社

コード 銘柄名 株価:円
8月2日
水素関連事業
7203 トヨタ自動車 10,030.0 燃料電池車 MIRAI
5020 ENEOS HD 469.7 水素ステーション
7012 川崎重工業 2,325.0 水素発電・水素製造流通
8088 岩谷産業 6,500.0 水素供給網
6369 トーヨーカネツ 2,443.0 水素タンク
6331 三菱化工機 2,476.0 水素製造装置
出所:楽天証券経済研究所が作成

 一口に水素関連株と言っても、実はいろいろあります。私が長期的に注目しているのは、未来のエネルギー循環社会を作るのに貢献する「水素エネルギー関連株」です。

 ただ、困ったことに水素エネルギー事業はまだ利益が出ない上に、それ以外の事業でも苦戦している企業が多いのが実態です。

 たとえば、川崎重工業(7012)。水素を作る・運ぶ・貯める・使うあらゆる側面で重要な貢献をしています。水素エネルギー関連株というならば、川崎重工業は本命の1社です。

 圧縮水素を流通させる技術を持ち、水素運搬船・水素運搬車・水素貯蔵タンクを手掛けています。オーストラリアに豊富に存在する褐炭(低品質の石炭)から取り出した水素を、日本に持ち込む事業にも関与しています。水素発電の技術開発も行っています。

 しかし、私は川崎重工業に今、長期投資したいとは思いません。本業の収益が構造的に不振だからです。

 ただし同社は、鉄道車両・航空機・船舶・二輪・ガスタービン・油圧機器・産業用ロボットなど、人類にとって重要な技術を幅広く持ち、人類にとってとても大切な仕事をしている会社だと思います。

 短期投資ならばやってみる価値はあると思います。今年、景気回復がさらに進めば、利益回復が見込まれるからです。

 もし、短期投資ではなく、長期投資を考えるならば、当面は水素ビジネスに注目しつつも、水素以外のビジネスでしっかり利益をあげていく銘柄を選ぶべきです。上記に挙げた銘柄でいうと、トヨタ自動車、ENEOS HDが投資対象として有望と判断しています。

 トーヨーカネツ・三菱化工機は、足元株価の調整幅が大きいので、次に水素がテーマで盛り上がる時を見込んで、今少し買ってみてもおもしろいと思います。