10月物件成約額は66%増と大手のトップ、土地ロケーションの優位性が際立つ

現地コード 銘柄名
00688

中国海外発展

(チャイナ・オーバーシーズ・ランド)

株価 情報種類

15.56HKD
(11/7現在)

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 中国政府系の不動産デベロッパー、中国海外発展の2024年10月の物件成約額は416億元と、前年同期比で66%増、前月比では121%増を記録した。克而瑞(CRIC)の集計によれば、大手デベロッパーの中では最大の伸び。多くの同業他社の成約額は前年同月比でマイナスだった。BOCIは中国海外発展の販売好調について、2022-23年に取得した土地の5割以上を1線都市(北京、上海、広州、深センの4大都市)に集約させるという地理的優位性が寄与したとの見方だ。これで1-10月の物件成約額は2,404億元となり、前年同期比の減少率は9%まで縮小した(同業銘柄の多くは20%以上の減少率)。BOCIはまた、1線都市を中心に、戦略的にタイミングを図って安価で土地を取得したとして、同社の保有用地の優良性を高く評価。不動産市況の改善を反映させる形で、目標株価を15.5%引き上げた。同業他社に比べた低バリュエーションに言及し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2024年10月には成約額が大幅増となったが、前年同月実績(250億元)は特に低いわけではなく、ベース効果とはほぼ無関係。前月比では121%の急増となり、同業他社の平均値(70%増程度)を大きく上回った。同社の場合、不動産開発プロジェクトのロケーション面の優位性が強み。10月には主要プロジェクトの大規模分譲の開始といった特殊要因もない中で際立った成績を残した。続く11-12月は前年同期実績が相対的に低く、2024年通年の成約額の前年比の減少率は1桁台前半まで縮小する見込み。同業他社の大半の成績を大きく上回る可能性が高い。

 2024年7-9月期決算は、営業利益率が9.4%と、前年同期比で3.1ポイント低下した。中国不動産市場が大底となり、即時引き渡し可能な完工済み物件の利益率が低水準にあったことが影響したとみられる。また、同社の収益未計上物件(成約済み)の粗利益率は2023年末に18%を超える水準だったが、7-9月期にはうち低利益率のプロジェクトの引き渡しを行う予定となっていた。それでも、BOCIは同業他社に比べ、同社の利益率の悪化圧力は限定的として、2024年通期のコア純利益予想を前年比19.4%増に据え置いている。これは1-9月業績とほぼ同水準となる。

 BOCIは不動産市況の改善を理由に、NAV(純資産価値)に対する目標株価のディスカウント率を20%から10%に変更し、目標株価を引き上げた。現在株価はBOCIの予想NAV(19.94HKドル)比で22%のディスカウント水準にあり、2024年予想PBR(株価純資産倍率)は0.4倍。プロジェクトの立地や品質、価格などの優良性と健全な財務状況を考慮すれば、同社株価は魅力的な水準にあるとした。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、追加の政策支援がなく、不動産市況の回復局面が続かない可能性を挙げている。