2024年7-9月期は予想下振れ、韓国・インド好調も中国外食部門の低迷が打撃に
現地コード | 銘柄名 |
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01876 |
百威亜太控股 (バドワイザーAPAC) |
株価 | 情報種類 |
8.26HKD |
株価 企業情報 チャート |
アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2024年7-9月期決算は、現地通貨建ての売上高が前年同期比9.4%減。調整後EBITDA(利払い、税引き、減価償却前利益)は同16.6%の落ち込みとなった、マクロ経済面の逆風と業況サイクルの下降により、特に中国での業務用需要が低迷したため。半面、韓国とインドでは成長軌道を維持した。BOCIは収益見通しを下方修正した上で、目標株価を引き下げながらも、プレミアムビール市場における同社のトップポジションを前向きに評価。2025年以降の回復期待を示し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
2024年1-9月期の売上高は前年同期比8.3%減の51億400万米ドル、純利益は15.2%減の7億4,200万米ドル。7-9月期には、現地通貨建てのビール売上高が9.4%減。調整後EBITDAは「APAC(アジア太平洋)西」部門で25.9%減少する半面、「APAC東」で33.3%増加し、全体で16.6%減だった。7-9月期の粗利益率は0.2ポイント改善して51.3%。単位当たり0.4%のコスト増を平均販売価格の0.9%高で吸収した。経営陣は2025年についてコスト面の緩やかな追い風を予想。売上高販管費率の改善を見込む。
「APAC西」に属する中国本土では、ここ3四半期にわたり、プレミアム化の流れが鈍化している。来客数と外食支出の減速による業務用需要の低迷が主因。同社はレストランやバーでの存在感が大きく、同業他社以上の打撃を受けた。中国での7-9月期の売上高と調整後EBITDAは、人民元建てで前年同期比16.1%減、21.1%減。経営陣は高ROIC(投下資本利益率)の広告・販促投資を通じ、効果的に販売回復を目指す方針で、重視するのはスポーツやライブ音楽イベント。「ハルビンビール」の1-9月の販売量をほぼ倍増させた米プロバスケットボールリーグNBAとの提携が成功事例となる。
一方、「APAC東」の韓国では、7-9月期の販売量が1桁台半ばの伸びを確保し、業務用と自宅用の双方で、主力ブランドの市場シェアを拡大させた。平均販売価格も10%台前半の上昇率。「APAC東」の売上高は現地通貨建てで14.3%増と、さらに加速した。経営陣は今後の収益に関しても楽観見通しを維持している。
また、中国と同じ「APAC西」に属するインドでは、プレミアムおよびサブプレミアムビールの売上高が7-9月期に2桁増。ただ、インドはまだ1人当たり消費量が小さく、過去の新興国市場開拓の経験が生きる見込み。BOCIはアジア太平洋の売上高に占めるインドの割合が、2026年には10%を超える可能性を指摘している。
BOCIは2024年、2025年の予想売上高を各5%減額修正。予想粗利益率の小幅の引き下げと販売費率の引き上げに伴い、予想純利益を17%、12%下方修正した。2025年予想PER(株価収益率)17.0倍(2024年予想PER20.0倍から変更)を当てはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。