1989(平成元)年11月13日
日本初の生体肝移植
1989(平成元)年11月13日、日本で初めて生体からの肝臓移植手術が島根医科大学(現・島根大学医学部)で行われました。臓器移植への理解が不十分だった時代ですが、この手術をきっかけに生体肝移植が急速に普及しました。
日本では、1968年に札幌医科大学で脳死状態とされた男性からの初の心臓移植が実施されました。移植を受けた患者は死亡し、執刀医が殺人罪で告訴されたことで、日本の移植医療は長い停滞期に入っていました。
手術を受けたのは先天性胆道閉鎖症の赤ちゃん。父親の肝臓の一部を移植する難度の高いもので、日本初、世界でも4例目でした。海外では可能な脳死者からの移植が当時の日本では不可能だったため、生体から移植する以外に手術の方法がなかったのです。
患者の赤ちゃんは一時快方に向かいましたが、翌1990年8月、1歳9カ月で息を引き取りました。
この手術をきっかけに、生体肝移植が医療として定着しました。さらに、臓器提供の問題が幅広く議論され、脳死者からの移植に道を開きました。