貴金属だけでポートフォリオを組むのも一計

 ここまでは、コモディティ(商品)銘柄で分散することについて述べました。ここからは、貴金属銘柄で分散する手法について述べます。具体的には、金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウムの4つの貴金属銘柄に、各貴金属に投資をする金額の配分を考慮しながら同時に保有する手法です。

 以下は、シリーズ化されている4つの貴金属のETF(上場投資信託 証券コード1540~1543)を利用した、売買シミュレーションです。投資金額をNISA枠のおよそ半分(60万円)程度とし、この金額を、金(ゴールド)に48%、プラチナに22%、銀に19%、パラジウムに11%配分しました。

 各ETFの価格は、2021年8月4日(水)と1年前の2020年8月4日(火)を参照しています。1年前と言えば、金(ゴールド)の国際価格が史上最高値をつけたタイミングでした。

図:4つの貴金属に同時に投資をした例

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 金(ゴールド)価格は足元、史上最高値水準だった1年前よりも安い水準にあります(6,510円→6,040円)。このため、投資資金の48%を用いて購入した45口分の金の損益はマイナス21,150円です。つまり、金のみを保有していた場合、損を抱えていたことになります。

 このシミュレーションでは、金(ゴールド)以外に3つの貴金属を同時に保有しています。同期間で、金の損益はマイナスでしたが、プラチナはプラス20,295円、銀はプラス7,050円、パラジウムはプラス17,900円となり、4貴金属合計ではプラス24,095円(プラス3.92%
)となりました。

 1年前、「史上最高値を超えてもっと上がる」と、さらなる上昇を見越して金(ゴールド)を買っていた場合、思惑に反し価格が下落し、損が発生したわけですが、その損を他の貴金属の利益で相殺し、その上で利益を積み上げたわけです。