6月中旬以降、主要株価指数や、木材、鉄鉱石などの下落が目立っている

 最近の、筆者が日ごろから注目している合計59銘柄の変動率に注目します。ここでの最近とは、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会 中央銀行制度の最高意思決定機関)議長のパウエル氏が、新型コロナの感染拡大で負ったダメージを回復させるために強化して実施している金融緩和を縮小する議論を開始することを示唆し、幅広い銘柄が下落したタイミングから8月4日までの、2カ月弱です。

 以下はこの間の、下落が目立った21銘柄の変動率です。

図:2021年6月17日から8月4日までの変動率(下落が目立った21銘柄)

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 この間、アジアや欧州の主要株価指数や、鉄鉱石やトウモロコシ、木材などの今年春に最高値を更新するなど突出した上昇を演じた銘柄の下落が目立ちました。先月中旬にOPECプラス(サウジなど13カ国のOPEC加盟国とロシアなどの非加盟国10カ国、合計23の主要産油国の集まり)が、減産(人為的な生産削減)の期間延長を決めた原油も下落しました。

 また、一時、「ウッドショック」と呼ばれた木材先物価格の高騰は、大幅な下落によって鎮静化に向かっています。足元の価格水準である560ドル/ボードフィートは、5月の高値(1,700ドル)のおよそ3分の1です。

 パウエル氏の金融緩和縮小(テーパリング)を示唆した発言により、これまで幅広い市場の価格上昇を支えてきた金融緩和が終わってしまうのではないか、という悲観的なムードが生じたことが、こうした銘柄の下落の一因と考えられます。そのほか、新型コロナの変異株の一つであるデルタ株の感染急拡大や、中国の景気回復が鈍化する懸念も、下押し要因と言えます。