原油が下落しても、農産物と非鉄金属が上昇すればCRB指数は上昇する

 複数の悲観論がある中にあっても、先述の通り、CRB指数は6年ぶりの高値水準で推移しています。主力の原油が下落しても、CRB指数が上昇している理由は、指数の構成比を確認することで見えてきます。

図:CRB指数の構成比率と各銘柄の騰落率(構成比率は2020年4月時点)

出所:リフィニティの資料より筆者作成

 構成比率が異なるため、単純に比較することはできませんが、原油の下落分の一部を天然ガスの上昇分が相殺し(エネルギーの分野)、トウモロコシの下落分の一部を小麦の上昇分が相殺し(穀物)、赤身豚肉の下落分をコーヒーとオレンジジュースの上昇分が相殺し(その他農産物)、銀の下落分を金の上昇分が相殺(貴金属)しています。

 CRB指数が上昇した背景には、上記の通り、各分野で下落分を相殺する要素があったこと、そして、非鉄金属の分野では3銘柄(構成比率合計13%)がいずれも上昇したことが挙げられます。

 構成比率だけを見ると、個別銘柄では原油が23%、分野別ではエネルギーが4銘柄合計で39%であるなど、エネルギーに偏りがあるため、CRB指数はエネルギーの価格動向に連動するイメージを抱く人もいるかもしれませんが、実際は、原油価格が下落(-3.7%)しても、CRB指数は上昇するのです(+4.7%)。