先週の結果

 先週の予測では、前週末にNYダウがFRBによる早期利上げ観測を嫌気して、▲533ドルの3万3,290ドルと急落し、シカゴの日経先物も2万8,515円となっていたことで、先週は日経平均も大きく下放れの可能性があるとしました。

 しかし、結果的には週始めの21日(月)こそ、一時▲1,169円の2万7,795円まで下落し、終値でも▲953円の2万8,010円となったことで、5月13日の安値2万7,385円を試す動きをも想定されました。

 ところが米国市場で、NYダウが+586ドルの3万3,876ドルと急反発したことで、日経平均もすぐに戻りを試すことになりました。しかし、米国株式は週後半にはナスダック、S&Pは史上最高値更新となり、NYダウも大きく戻しましたが、日経平均の戻りは、22日(火)の+873円の2万8,884円の後は、上値重く週末に2万9,000円台を回復するのがやっとでした。

 日経平均は、米国市場で2023年までの利上げの可能性は織り込んだものの、それまでの間の超金融緩和は続くとの見方から、株価は早い戻りになったという見方が多いようです。それでもインフレ圧力はあり、いつか利上げが前倒しになる可能性もあるという観測から為替は一時ドル/円は111円台までの円安となりました。

 それにもかかわらず23日(水)からの日経平均の戻りは弱く、2万9,000円台に乗せると、売り物がすぐに出てきて、上値の重い状況となっています。

 この理由は、コロナワクチン接種が進展しているにもかかわらず、東京都で新型コロナの感染者が増加し続けていることにあるようです。

 この状況では、日経平均は2万9,000円台を大きく超えていく期待が持てません。また、2万9,000円超えの水準では、これまでの累積売買代金が多く、戻り売りが出やすいということや、裁定売り残がほとんどなく、買い戻しを誘う余力も乏しいこともあります。

 先週の動きの結論としては、週始めに日経平均は5月以来の2万7,000円台に突っ込む場面もありましたが、あくまでも需給要因と考えられました。事実上の下値サポートラインは、2万8,500円水準に引かれており、一方2万9,000円台より上の水準は売り圧力が強く、強弱感の対立が続くことが想定されます。

 25日(金)の米国市場は、おおむね堅調な動きでした。

 FRBがインフレ指標とする5月コア米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予測を下回ったことで、インフレ加速は一時的との見方が強まりました。

 また、株主還元規制が解除されたことや、さらにインフラ計画が法制化に向けて前進したこともあり、NYダウは+237ドルと続伸し、前週に下げた分をこの週で取り戻すことになりました。

 ナスダックは小幅反落でしたが、S&P500は連日の最高値更新となっています。

 シカゴの日経先物は▲30円の2万9,010円でした。