原油相場が100ドルに達するための4つの条件
供給面は今のところ実態を伴っているものの、需要や「全体」ではまだまだ「期待」や「願望」が先行していると書きました。では、今後、どのような条件が整えば、原油相場は100ドルに達すると考えられるのでしょうか。その条件とは以下の4つであると、考えています。
図:原油相場が100ドルに達するための4つの条件(筆者イメージ)
「脱炭素」起因で原油が使われなくなるのであれば、その下落要因を相殺して余りあるだけの、上昇要因が必要です。この点に貢献し得るのが、産油国の「実態を伴った」供給削減です。
米国の生産が回復しない状態やOPECプラスの減産実施が長期化することが前提です。「脱炭素」ブームを受け、原油を使わなくなる世界が到来すれば、自ずと、供給量も減少するとみられます。
また、消費国の需要回復については、目立った需要回復が起きていなくても原油価格が上昇している現状を考えれば、消費国の需要が大幅に回復する必要はないのかもしれません。
需要回復への「期待」や「願望」が価格を押し上げていると考えれば、実際に需要が回復した場合、その「期待」や「願望」が消滅してしまうため、価格上昇を想定する場合、需要回復は完全に現実化しないことが望まれます。
また、市場規模について、NY原油先物市場の出来高(どれだけ売買が行われたのかを示す、市場規模の目安の一つ)は、以下のとおり、低下傾向があります。
市場規模が縮小すれば、価格へ同時のブレ幅が拡大する可能性があります。このため、上振れした場合、瞬間的に記録的な高値をつける可能性が高まります。
図:NY原油先物市場の出来高合計 単位:百万枚
需要が十分に回復していないにもかかわらず、なぜ今、原油価格が上昇しているのか? という問いに答えるには、実態を伴った供給削減と、将来の需要回復への「期待」や「願望」、「ゲタ」と言える「期待」や「願望」による全体的な底上げ、などを考慮する必要があります。
「価格」は、一般的には「需要の実態」と「供給の実態」を映す鏡と言われますが、現在の原油相場は(供給を除き)、需要は「期待」や「願望」、そして需要と供給以外の第3の要素「全体のムード」が関わっていると認識すべきだと、筆者は考えています。
言い過ぎかもしれませんが、需要が回復していなくても、価格が上昇することもあるのだと、思います。
これまでの常識では計り知れない相場展開が続いています。だからこそ「原油相場100ドル」という、一見すると突拍子もない議論ができるのだと思います。材料を俯瞰し、過去の常識を捨て、さまざまな側面から原油相場を眺めていきましょう。
[参考]原油関連の具体的な投資商品
国内ETF/ETN
WTI原油上場投資信託 (東証)1690
NF原油インデックス連動型上場(東証)1699
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ブル2038
NEXT NOTES 日経TOCOM原油ベア2039
投資信託
外国株
エクソンモービル(XOM)
シェブロン(CVX)
トタル(TOT)
コノコフィリップス(COP)
BP(BP)