目立った需要回復はまだ起きていない。需要面は「期待」「願望」先行

 報道を参照すると、足元の原油相場の上昇は、コロナ禍からの景気回復や季節的な要因による需要増加、そして産油国の生産削減、などが主な要因とされています。以下は、世界の石油需要の推移です。

図:世界の石油需要 単位:百万バレル/日量

出所:EIA(米エネルギー情報局)のデータをもとに筆者作成

 世界の石油の需要は、新型コロナのパンデミック化後の数カ月間、減少したものの、報じられているとおり、回復傾向にあり、回復しているか? と問われれば、「している」と回答できます。ただ、その規模はどうでしょうか。

 回復しているものの、まだコロナ前の水準に回復しておらず、途上です。さらには昨年同時期に出された予想を下回っています。

 これらを考慮すれば、「回復」といえども、世界の石油需要の動向に関する評価は、「美点凝視」、「よいところ取り」、つまり、「期待先行」「願望先行」と言えるでしょう。