3月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 3月に入り、ワクチン接種の進展による経済正常化期待&バイデン新大統領の経済対策期待で、バリュー株優位の形で株高気運が高まりました。株高とセットで債券安(米長期金利の上昇)が進み、これまで主流だった「グロース株買い/バリュー株売り」の逆流が中心軸に。月後半に入ると、FOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「物価上昇は一時的」として、ゼロ金利政策を2023年まで続ける構えを再強調。それでも、米金利の上昇は止まらず、金融株や海運株などの景気敏感株人気が広がっていきました(こうした動きは、マザーズには逆風)。

「バリュー株が今は有利そうだ」という相場観を広げた理由に、3月が日本は“期末”だったことも挙げられます。配当利回りの高い株は当然バリュー株に多いため、個人投資家の中で配当を取ろうという意識が働きやすかった時期。また、毎年恒例の配当の再投資に伴う先物買いもTOPIX(東証株価指数)型が中心。そして、19日の日銀金融政策決定会合で、政策点検に伴って見直し案が公表され、「今後買い付けるETF(上場投資信託)をTOPIX型のみ」にするとも発表されました。3月後半辺りから、日本の個人投資家も銀行株や海運株、ETFでもTOPIX型を信用取引で買っている形跡が残っています。

 個人投資家が、これまで敬遠していたバリュー株に触手を伸ばし始めたのが3月後半。ただ、物色が変化した途端、再び月末にかけてグロース株優勢、日経平均(対TOPIXで)優勢な地合いに変化したのが相場のムズカシイところで…。S&P500やNYダウが史上最高値を更新し、日経平均なども上昇。その割に、個人の評価損益率が改善しなかったのも3月相場の特色といえます。

 3月の月間騰落率は日経平均株価が+0.7%、TOPIXが+4.8%で、ともに5カ月連続上昇に。新興株市場では、日経ジャスダック平均も+3.7%と好調でしたが、東証マザーズ指数のみ▲0.9%とマイナス。バリュー株優位の地合いで、バリュー株が少ない東証マザーズの上値は重かったほか、バリュー株に個人マネーが向かった影響もマイナス。また、3月IPO(新規公開株)に短期資金が集中、この影響でIPO以外の既存マザーズ銘柄の流動性が低下したこともマイナス。さらに、初値を付けた後に大きく下落するIPOが続出したこともマイナスでした。