投資資金から考える銘柄選択

 通常、株式投資を始めたばかりの投資家は、投資資金が限られています。数十万円から、せいぜい百万円くらいの資金のケースが多いと思います。

 その場合は、あまりたくさんの銘柄に投資することはできないと思います。

 一つか二つ程度の銘柄だけに投資する際は、IPOしたばかりの若い会社に全財産を投入するのではなく、大型株の、優良企業に投資するようにしてください。銘柄のイメージで言えば、下記の表のようなものです。

銘柄 コード 業種
AT&T T 通信
ベライゾン VZ 通信
ノバルティス NVS 薬品
マクドナルド MCD レストラン
プロクター&ギャンブル PG 日用品
ゼネラル・ミルズ GIS 食品
ジョンソン&ジョンソン JNJ 医薬品、医療機器
エクソン・モービル XOM 石油
ケロッグ K 食品
コカコーラ KO 飲料
バクスター・インターナショナル BAX 医療関連
ベクトン・ディッキンソン BDX 医療関連
チャーチ&ドワイト CHD 日用品

 これらの銘柄は四半期ごとの業績の変化がおとなしく、アナリストにとって数字が読みやすい企業で、配当も出しています。

 もちろん、業績が安定していて配当も出しているからと言って、これらの株を買うと必ず儲かるというわけではありません。

 でも、慣れないうちは株価の動きがマイルドな、これらの銘柄で練習するのが一番です。もし読者の皆さんの中で、「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を活用し、個別株に投資したい」という人も、上に挙げたような銘柄が適していると思います。

 もちろん、投資資金が限られているうちは個別銘柄ではなく、ETF(上場投資信託)を買うという方法も有効です。ETFに関しては連載・海外ETFデビュー講座で詳しく解説しています。

 上の一覧表に掲げたような銘柄は、どれも長年好業績を出し、安定成長期に入った優良株です。逆に言えば、華々しい急成長は望めないということです。

 そこで、ある程度経験を積んだ投資家は、IPOしたての若い企業に挑戦してみたいと考えるかもしれません。この場合、覚えておいてほしいことは、IPOしたばかりの企業が、本当に良い会社かどうかを判断するのは、プロにも大変難しく、究極的にそれを決定付けるのは、四半期決算を発表するたびに予想を上回る良い決算を毎回出せるかどうかにかかっているということです。

 もっと言えば、落伍者がどんどん出るということです。もし、あなたが投資した会社がたまたまそんな落伍者に当たってしまい、株価が下がったとします。その場合は未練ったらしくその株をいつまでも抱えず、悪い決算を出した時点ですぐに切ってください。

 つまり、IPOして間もない若い企業への投資は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式の、試行錯誤の繰り返しにならざるを得ないのです。

 すると、この手の若い企業は、1回きりの非課税の特典を享受できるNISAのような口座での保有には向かないことが、お分かりいただけると思います。

第5章「短期トレード、それとも長期保有?」はこちら