IPO後、すぐに新株を公募する会社は見込みあり

 IPOして半年~1年後すぐに、また株を売り出す会社があります。このようなケースをどう評価すれば良いのでしょうか?

 私は昔、投資銀行に勤めていて、企業の増資を手伝う仕事をしていました。その関係で、どういう事情でIPOして間もない若い会社が公募をするのか? ということを垣間見る機会がありました。その経験から、こっそり皆さんにお教えすると、IPOして間もなく公募増資に踏み切る会社の株は「買い」です。

 そう言うと、(そんなはずはないだろう? だって株を売り出すということは供給が増えてしまうことを意味するのだから……)と皆さんは考えるかもしれません。実は、私も最初はそう考えていました。

 しかし、公募増資の実務をこなしていく過程で、(IPOして間もない会社が、また株を公募できるということは、ずいぶん難易度の高いことなのだな)ということを実感したのです。

 まず、上場直後の決算でズッコケる会社は投資家からソッポを向かれますから、もう公募はできません。そういう会社がどうしても資金が必要となった場合は、PIPEs(Private Investments in Public Equities=パイプス)と呼ばれる、私募増資に走ります。私募とは一握りの少数の適格投資家に、こっそり株を割り当てるやり方です。PIPEsは「下品な商売の作り方」だと思われているので、モルガンスタンレーやゴールドマンサックスのような、格調高い投資銀行は絶対に引き受けません。幕下クラスの、魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした零細証券が、その汚れ仕事を買って出るのです。