信頼しても構わないが、検証を忘れるな!

 ここまでの話をまとめます。

 思うに世の中には、単なる良い投資ストーリーと、良い会社が、似て非なるものだということを理解している投資家が少なすぎます。

 良い投資ストーリーは、掃いて捨てるほどあります。

 だから良い投資ストーリーに巡り合ったくらいで、ぬか喜びしないでください。良い投資ストーリーは、出発点にすぎません。

 1980年代に米ソ冷戦の状態を打破するため、米国のロナルド・レーガン大統領は話し合いのきっかけを模索していました。そこでレーガンはロシア文学の研究家であるスザンヌ・マッシーに「何か妙案はないかね?」と相談します。

 スザンヌ・マッシーはロシア人が大好きなことわざを、スピーチの中で引用してみてはどうか? と提案します。その言葉とは「信頼しても構わないが、検証せよ!(Trust, but verify)」というものです。

 レーガン大統領がこの言葉を使ったのを聞いて、ソ連の人たちは(この人は、ひょっとすると米ソ関係を新しい境地に導ける人かもしれない)と思いました。その後、米ソの雪解けが訪れたのは有名な話です。

 我々の投資も、これと全く同じです。良い投資ストーリーを信じるのは皆さんの勝手ですが、その会社が夢の実現に向けて着実に前進しているかどうかを毎期の決算でちゃんと検証することを忘れないでください。

第3章「株価評価のメカニズムを理解する」はこちら