良い決算とは?
それでは良い決算とは、一体、どういう決算なのでしょうか?
良い決算とは、
1: EPS(一株当たり利益)
2:売上高
3:会社側ガイダンス
の三つの点で、全て市場予想を上回ることを指します。このうち一つでも予想を下回れば、それは良い決算ではないのです。
ここでの会社側ガイダンスとは会社の来期、ならびに今年度決算予想を指します。つまり四半期決算を発表するごとに、経営陣の考える将来の予想数字を、自らのイニシアチブでリセットするわけです。
この会社側ガイダンスは、来期以降のアナリスト・コンセンサス予想に大きく影響を及ぼすわけですから、いわば決算発表のたびに、次回のハードルを経営陣自らが設定しているのと同じなのです。
ウォール街には「Under promise, over deliver.」という格言があります。これは「約束は控えめに、そして結果は期待以上に」という意味です。
こうして毎回、「これでもか、これでもか!」と市場の期待を上回る好決算を出すと、投資家はその会社の経営陣に深い満足を覚え、大袈裟な言い方をすれば、しびれるようなエクスタシーを感じます。それは「神話」の誕生と言っても良いかもしれません。このように有言実行で、毎回、数字で応えてくれる企業だけが、良い会社なのです。
良い会社の財務諸表
IPOしたての若い企業は、赤字です。実際、2014年上半期のIPOのうち8割以上の会社が赤字でした。つまりスタート地点では、そこにあるものは引受証券会社が描いた「おとぎ話」のような良い投資ストーリーだけで、利益は伴っていないのです。
逆に言えば、数字面で実績を伴っていないだけに、落胆が出たときには、株価の下支えになるものが存在しないということなのです。これは危ない状態です。
ところが、先に述べたように、毎回の決算で、きっちり数字を出してくることを繰り返していると、いずれその企業は赤字会社から黒字会社へと転換します。
さらに営業マージンがジリジリと拡大しはじめます。また営業キャッシュフローもだんだん膨らんでいきます。負債を返済し、無借金経営になります。そして、気がついたときには財務的にピカピカの存在になるわけです。