※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]日本株だけで大丈夫?米国株・アジア株への投資も必要と考える理由
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グローバル投資が必要な時代に

 いつもは日本株の投資判断について書いていますが、今日はグロ-バル株式投資について私の考えをお伝えします。以下が私の考えです。

  1. 日本株:割安株として高評価、成長性はやや見劣り
  2. 米国株:成長株として評価
  3. 中国株:成長株として評価、政治リスクに注意
  4. 新興国株(非資源国):成長株として評価、政治リスクに注意
  5. 新興国株(資源国):資源価格が上昇する時に高パフォーマンス

日本株は「割安株の宝庫、ただし成長性でやや見劣り」と判断

 日本株は「割安株の宝庫」と判断しており、しっかり投資していくべきと考えています。財務内容が良好で収益基盤が堅固で配当利回りが高い銘柄が多数あると考えています。また、買収価値と比較して株価が「きわめて割安」な銘柄もあると判断しています。具体的な投資候補については、私の過去のレポート・バックナンバーをご参照ください。

 日本株から、成長株の発掘余地もあります。海外(主にアジア)で成長する企業、ITで経済構造を革新する企業に期待しています。ただし、黒字化のメドがまったくないのに期待だけで株価が高騰している「見かけ倒しの成長株」もあるので、注意が必要です。

 日本株全体を見渡すと、成長性に乏しい銘柄が多いのは否めません。OECD(経済協力開発機構)が12月1日に発表した「世界経済見通し」から、まず先進国および世界全体のGDP成長率をご覧ください。

OECDの世界経済見通し(GDP成長率):世界全体、米国、日本、欧州

出所:2020・21・22年予想はOECD、2020年12月1日時点

 上記はOECDの予想です。日本の成長率見通しがやや低過ぎると思いますが、それを除けば、おおむね私の考えと一致します。以下、OECDの見通しから読み取れることを、解説します。

【1】世界全体のGDP規模は来年、コロナ前に戻る見通し

 世界全体のGDP(国内総生産)は、コロナ前、年率約3%ペースで成長していました。コロナ前の2019年成長率実績も2.6%でした。

 今年(2020年)はコロナショックで▲4.2%のマイナス成長となる見込みです。ただし、来年(2021年)は+4.2%成長し、コロナ前の経済規模に戻る見込みです。再来年(2022年)、世界全体でさらに3.7%の成長が続く見通しです。

【2】米国のGDPも、来年にはコロナ前の水準に近づく見通し

 米国には、世界のITインフラを支配し、これから世界で加速する「第4次産業革命」を牽引する企業が多数あります。OECDによると、来年(2021年)米国GDPはコロナ前の水準に近づき、再来年(2022年)さらに3.5%成長する見通しです。

【3】日本と欧州のGDPは、1年ではコロナ前の水準に戻らない見通し

 日本およびユーロ圏のGDPは来年1年ではコロナ前に戻らず、再来年まででようやくコロナ前に近づく見通しです。

 世界全体のGDPは、来年「コロナ前」水準に戻り、再来年にさらに年率3%台の成長が見込めます。したがって、グローバル株式に投資していく価値は高いと考えます。米国株はその有力候補です。

 日本株と欧州株については、成長性ではあまり評価できません。成長性を考えるならば、米国株に加えて、人口が増えて成長する「新興国」にも投資していく必要があると思います。