配られている書類は3種類。どうしたらいいの?

 年末調整で配られているのは、おそらく以下の3種類だと思います。

(1)令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(2)令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
(3)令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書

(2)は、3種類の申告書を1枚にまとめているので、もはや呪文にしか思えないような名前になっていますね。

 このうち、(1)(2)は全員が提出、(3)は該当がある場合に提出します。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の留意点

(1)の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、原則として全員が提出するものです。

 2カ所以上から給与をもらっている方は、いずれか1カ所でしか提出できません。 

 この扶養控除等申告書を提出しないと、給与の源泉徴収税額が「甲欄」ではなく税率の高い「乙欄」で計算されてしまいます。また、扶養控除等申告書を提出しないと年末調整を受けられません。確定申告で精算すれば両者での税額の違いはありませんが、できれば面倒なことはせずに済ませた方がよいでしょう。

扶養対象の配偶者や親族がいない場合は?

 扶養の対象となっている配偶者や親族がいない場合は、上の欄の名前・住所等だけ記入すれば大丈夫です。

扶養対象の配偶者や親族がいる場合は?

 扶養対象の配偶者や親族がいる場合は下の欄にも記入します。この記載が漏れると、毎月のお給料から引かれる源泉徴収税額が増えてしまうこともありますから、注意してください。

給与所得者の基礎控除申告書の留意点

(2)は、基礎控除申告書と配偶者控除等申告書、そして所得金額調整控除申告書の三つが1セットになったものです。

 所得金額調整控除申告書に記載が必要な方は少ないと思いますので、ここでは割愛します。

 上欄の氏名、住所の記載、および基礎控除申告書の記載は全員が必要です。配偶者控除等申告書は、配偶者がいる場合に記載してください。

最も一般的な会社員のケース

 最も一般的な、勤め先が1カ所で、給与所得以外に所得がないケースで考えていきます。

 基礎控除申告書の「給与所得」の「収入金額」の欄には、令和2年の1~12月までもらう給料の「額面」(源泉所得税、住民税、社会保険料を引く前の金額)を書きます。12月分はまだ分からない人もいると思いますが、見積額で大丈夫です。なお、記載する額は額面であって、手取りの額ではありませんので、ご注意ください。

 また、「所得金額」の欄は、給与収入から給与所得控除の額を差し引いた残額を書きます。紙でこの申告書を受け取っている方は裏面に計算方法が載っています。

 もしくは国税庁のウェブサイトをご覧ください。

 実際のところ、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる配偶者がいて、かつ給与所得が900万円超1,000万円以下というケースを除いては、よほどの高給取り(給与所得2,400万円超)でない限り、ここの金額の記載が多少誤ってしまったとしても影響はありません。