「13週移動平均からの乖離率」で見ると日経平均に「やや過熱感」

 テクニカル指標には、さまざまな種類があります。指標ごとに見る切り口が異なりますので、どれも参考になります。ただし、多くの指標が基本的に同じ方向性を示すので、すべてを見る必要はありません。今日は、初心者の方にわかりやすい、移動平均線からの乖離(かいり)率で説明します。

 どの移動平均線を見るかは、目的や投資期間によって異なります。今日は、中期トレンドを見るのに参考になる「13週移動平均線からの乖離率」を使用します。短期トレードで使う短い移動平均線(5日移動平均線など)の話は、今日はしません。13週とは約3カ月です。3カ月の指標が日経平均の中期トレンドを考えるのに適しています。

日経平均と13週移動平均線:2017年1月6日~2020年11月17日

 詳しい説明は割愛しますが、13週移動平均線からの上方乖離率が10%を超えると、短期的に過熱感のあるゾーンに入っていると判断します。下方乖離率が10%を超えると、短期的に売られ過ぎと判断します。

 ただし、これはどちらもオシレーター(逆張り)指標ですので、ピンポイントの投資判断には役立ちません。上方乖離率が10%を超えてから上昇が加速することもあります。また、下方乖離率が10%を超えてから、下げが加速することもあります。乖離率がどこまで拡大したら反転するという、適切な判断基準はありません。

 ただし、乖離率が極端に大きくなった時は別です。2020年3月19日(コロナ・ショックの大底)では、下方乖離率が▲25.6%まで拡大しました。これだけ極端に下方乖離率が大きくなれば、逆張り指標といえども短期的な投資判断に使って良いと考えられます。短期リバウンド狙いで投資するに良いタイミングでした。

 そこから日経平均は急反発しましたが、反発ピッチが速すぎて、6月5日(日経平均2万2,863円)には、上方乖離率が16.6%まで拡大しました。10%を大きく上回っているので、過熱感があり、いったん売ってみて良いタイミングでした。日経平均は、その後反落して、6月15日には2万1,530円まで下げました。ただし、そこから急反発し、その後しばらくボックス推移に転じました。

 7~10月の日経平均が小動きで日柄調整が進んだだめ、過熱感は低下しました。11月17日に日経平均は2万6,014円まで急上昇しましたが、それでも13週移動平均線からの上方乖離率は9.7%です。「やや過熱感あり」という程度で、売りシグナルととらえることはできません。日経平均は18日に286円安となったので、乖離率は8.5%に縮小しました。