内外で、OPECの影響力の低下が起きた

 OPECと非OPECの協調減産(OPECプラスと呼ばれる、OPEC側13カ国、減産に参加する10カ国の非OPEC諸国の合計23カ国での協調減産)は、2017年1月から始まり、数度、期間を延長したり、削減量を変更したりして、2020年4月の一時中断をはさみ、今に至っています。

 この間何度も、非OPEC側の代表格であるロシアとOPEC側で折り合いがつかない事態が発生しました。交渉が難航するたびに、徐々にロシアのOPEC側への影響力が強くなってきたと言えます。それまで、減産の方針については、OPEC側で決定した内容を非OPEC側が追認して合意してきたものの、現在では、OPEC側だけで合意できない事態になっています。

 今年(2020年)3月の臨時総会で、5月から再開する減産の内容を合意しましたが、合意をみたのはOPEC総会ではなく、OPEC・非OPEC閣僚会議でした。6月の総会でもOPEC総会ではなく、非OPECとの会議で7月も5・6月と同様の削減量とすることを決定しました。

 OPECがOPECプラスの協調減産をリードできていない、OPECだけで物事を決められない、などの事態になっているとみられ、OPEC単体の存在意義は薄れ、ロシアを含んだ“OPECプラス”が、かつてのOPECのような存在になっていると言えます。

 また、OPEC外に目を向ければ、地球環境に配慮するムードが日に日に強くなり、石油の存続を危ぶむ声が出始めています。“石油の時代は終わった”と述べるアナリストもいます。このような外部環境の変化もまた、石油を生きることの柱にしているOPECの影響力を低下させる要因になっていると、考えられます。

 発足から60年たった今、OPECは何を思っているのでしょうか。地球環境への配慮、再生可能エネルギー技術の飛躍的な発展、原油の金融商品化、ポピュリズムの台頭、新型コロナのパンデミック化など、60年前には想像もつかなかった世界を、OPECはどのような目で見つめているのでしょうか。