妻だけでみれば配当金を確定申告した方が有利だが……

 また、例えば妻の給与所得が95万円の場合、夫の合計所得金額が900万円以下であれば38万円の配偶者特別控除を夫が受けることができます。

 ただし、妻には上場株式の配当所得が40万円あるとします。妻だけで考えればこの配当所得を総合課税で確定申告すると、源泉徴収された税金の一部につき還付を受けることができるため、確定申告した方が有利です。

 ところが、妻が配当所得40万円を確定申告すると、給与所得の95万円と合算した合計所得金額が135万円となり、夫が配偶者特別控除を受けることができません

 この場合、妻が配当所得を確定申告することにより還付を受けることができる税額と、夫が配偶者特別控除を受けられなくなることにより増加する税額を比較して、妻が配当所得を確定申告した方が有利なのか、しない方が有利なのかを事前にシミュレーションしておくことが必要となります。

 通常、配偶者控除や配偶者特別控除については夫・妻ともに給与収入しかないという前提で解説されているケースがほとんどです。でも実際には、配当所得や譲渡所得、それ以外の所得があった場合はそれらも加味して検討する必要があります。

 配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるはずだったのに受けられなくなってしまう……そんなことのないように事前の準備やシミュレーションをしっかりと行っておいてくださいね。