欧米も戦後最大の落ち込み 

 戦後最大の落ち込みとなったのは日本ばかりではありません。既に発表された米国(▲32.9%)、やユーロ圏(▲40.3%)は3~4割、さらに英国は▲59.8%と6割の落ち込みとなっています。日本よりもマイナス幅が大きかったのは、日本よりも厳しい外出制限などの都市封鎖(ロックダウン)を行った影響が大きかったようです。個人消費や企業活動に大きな打撃を与えました。

 7-9月期のGDP予想では、各国ともプラス予想となっていますが、英国エコノミスト誌によると、プラスに戻ってもGDPの規模は米国で2017年、英独仏で2016年、日本は2012年の水準にとどまると試算しています。日本の回復スピードは遅いようです。

 正常化には時間がかかりそうです。その間、日米欧の金融当局はゼロ金利や無制限の量的緩和などの緩和政策を続けていくことが予想されるため、ドル安傾向は続きそうです。ただ、ドル/円については、ユーロやポンド、豪ドルなどがドルと比べて堅調なことから、それらのクロス円は円安傾向にあるため、ドル/円の円高にはブレーキがかかっています。徐々に頭が下がってきていますが、円高のスピードは緩やかな動きになりそうです。

 現在、政策によって株価がほぼ回復し、遅れて経済が回復するというシナリオが大勢ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、ワクチン開発も遅々として進まない場合、経済活動の足かせ状態が続くと金融緩和による資産効果だけでは限界があり、財政支援も底をついてくることが予想されます。

 回復に4年かかるとした場合、同じような金融・財政支援が続かない可能性もあることにも留意しておく必要がありそうです。