GDPとは?

 GDPとは国内総生産(Gross Domestic Product)のことです。国内総生産とは、国内で一定期間に生み出されたモノやサービスの付加価値を合計した金額のことです。付加価値とは、商品やサービスの売上高から原材料や仕入れなどにかかった費用を引いた金額のことです。

 GDPは国の経済の状態を示す最も重要な経済指標の一つですが、GDPを見る際には、その大きさ(金額)よりも、景気の方向性を示す増減率をマーケットでは注目します。この増減率を経済成長率、あるいは成長率と読んでいます。ある国のGDPが+5%ということは、その国の国内総生産が5%の率で増加している、成長しているということになります。

 この増減率は、「前期比」「前年同期比」「年率」として示されています。「前期比」は直前の3カ月間と比べたもので、直近の動きをつかみやすく、変化を早く捉えることができます。

「前年同期比」は1年前と比べた数字です。1年前の経済環境を考慮して、現在の景気の方向性を捉えることができます。例えば、現在のコロナ禍を1年前の平常時と比べるとどの程度経済が縮小したかを見ることができます。世界の主要国では1年前と約10%縮小したとみられており、リーマン・ショック時の3.5倍の落ち込みとなっているようです。

「年率」(※)は前期比の増減率のペースが1年続いたと想定し換算したものです。米国で一般的に使われ、国際比較がしやすいため、マーケットでは、この前期比年率換算を重視し、この基準で他国との成長率を比較しています。ただ、国によっては年率を発表しない国もあります。中国は「前年同期比」を主に使っています。

 このように「前期比」、「前年同期比」、「年率」は期間や意味合いがそれぞれ違いますので、成長率が比較されている時は、同じ基準で比較されているかどうか注意する必要があります。他国との比較をする際も同様です。

※「年率」の計算方法

 GDPは3カ月を基に計算されていますが、年率換算とはこの3カ月間の成長率が1年続いた場合、年間の成長率がどれくらいになるかを表します。今回4-6月期の3カ月間の成長率は▲7.8%のため、このペースで4四半期続いた場合の年間の成長率は▲27.8%となります。

 計算方法は、▲7.8%を4倍して年率を計算するのではなく、▲7.8%のペースで毎四半期減少するため、▲7.8%の4乗となります。▲7.8×4=▲31.2%ではありません。

 例えば、1-3月期のGDPを100とすると、

 4-6月期は  100×(100-7.8)%=92.2
 7-9月期は  92.2×(100-7.8)%=85.0
10-12月期は  85.0×(100-7.8)%=78.3
 1-3月期は  78.3×(100-7.8)%=72.2

 従って、年間では 72.2-100=▲27.8%となります。