金鉱山生産国の新型コロナ感染者数が増加し続けている点は、供給減少懸念を強める

 ここまで、さまざまな側面から、金の需要動向についてみてきました。今度は、金の供給、中でも、金の鉱山生産について考えます。

 以下は、金の鉱山生産量の上位20カ国です。生産シェアは20カ国合計で、83%を超えます。

図:金の鉱山生産量(2017年時点) 単位:トン

出所: USGS(アメリカ地質調査所)のデータをもとに筆者作成

 そして、以下が、これらの20カ国における、新型コロナウイルスの新規感染者数の合計です。

図:産金国上位20カ国の新型コロナ新規感染者数の合計 単位:百万人

出所: Bing-COVID19-Dataより筆者作成

 これらの20カ国の新型コロナウイルスの新規感染者数は、4月から増加が目立ち始めましたが、特に7月以降、増加のスピードが増しています。今はまだ、新型コロナの影響で、鉱山生産が停止したなどの情報は目立っていませんが、今後、さらに同ウイルスの感染者が増加した場合、鉱山生産量に影響が出かねません。

 金は他の貴金属と異なり、世界のほとんどの地域で生産されています。偏在してないという意味で、鉱山からの供給が減少するリスクは、比較的低いかもしれませんが、それでも、感染者数の増加が止まるまでは、警戒が必要です。

 金の鉱山生産においても、供給懸念を意識するタイミングがいずれ到来する可能性があります。この点もまた、金価格をサポートする材料になり得ます。

 現時点で筆者は、8月11日(火)の急落は、一時的なものであり、今後、本レポートで述べたさまざまな上昇要因に支えられ、2,000ドルを回復するとみています。

 複数の悲観論がさらに後退したり、株価やドルが急上昇したりした場合は、その限りではありませんが、それでも、米国の金融緩和をきっかけとした代替通貨としての需要増加期待や、中国の宝飾需要、中央銀行の保有増加は、少なくとも目先数カ月間続くとみられ、仮に何らかの要因で短期的に急落した場合でも、これらが金相場を支える役割を果たしてくれると、考えています。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)