金価格が急落した8月11日(火)は、複数の悲観論の一時的な後退が同時に起きた

 8月11日(火)に起きた出来事を振り返ると、世界のさまざまなところで、さまざまな悲観論が後退していました。筆者はこの日に同時に起きた悲観論の後退は、米国、中国、ロシアの3カ所において、少なくとも4つの分野で起きたと、みています。

(1)バイデン氏が、副大統領候補にハリス上院議員を選出した。
 →黒人女性初の副大統領誕生、に期待が高まり、混迷する米国に明るい話題をもたらした。

(2)米金融大手が、S&P500企業の通期収益予想を引き上げた。
 →懸念される新型コロナの米国企業へのダメージが限定的である期待が生じた。

(3)香港国家安全維持法による逮捕者が保釈された。
 →中国による香港メディア・活動家への言論統制が緩んだと、受け止められた。

(4)ロシアで、世界初のワクチンが承認された。
 →新型コロナとの戦いで、人類が大きな一歩を踏み出した可能性が生じた。

 上述の複数の悲観論の、同時後退は、いわゆる“有事のムード”を一時的に弱め、それにより資金の逃避先としての金の需要を減退させる懸念を生じさせたと、考えられます。

 金価格の下落要因となったとみられる、複数の悲観論の同時後退について、今後、さらにこれらの悲観論は後退し続けるのでしょうか、あるいは、逆に復活するのでしょうか。