口座振替による支払いには要注意!

 注意したいのが、口座振替による支払いです。例えば上記の例で、ご主人の保険料はご主人の口座から、奥様の保険料は奥様の口座から引き落としとなっている場合、奥様の保険料をご主人の確定申告で所得控除することはできません。

 なぜなら、奥様ご自身の口座から引き落とされているということは、奥様が支払ったという判定がなされてしまうからです。

 夫婦お二人の分をどちらかに寄せて所得控除を取るのであれば、納付書による納付でお二人分を支払うか、もしくは口座振替であればお二人分の保険料ともどちらか1人の口座から引き落とすようにしておきましょう。

小ワザ3:「2年前納」の制度を上手に活用して節税する

 通常、国民年金保険料は、その年に支払った保険料が社会保険料控除として所得控除の対象となります。

 ただし、「2年前納」の制度を使うと、以下の2つから選択することができます。

(1)全額を支払った年の所得控除とする
(2)対応する各年の所得控除とする

 2年前納は、対象となる期間が決まっており、「4月~翌々年3月」までとなっています。ですから、仮に令和2年4月に2年前納により保険料を支払った場合は

(1)令和2年分の確定申告時に前納した保険料全額を所得控除にする
(2)令和2年は9カ月分、令和3年は12カ月分、令和4年は3カ月分の保険料をそれぞれ各年の所得控除の対象とする

 のいずれかを選ぶことができます。

 この2年前納の制度を最も有利に使うシーンとしては、たまたまある年だけ所得が大きくなりそうだ、という場合です。

 今であれば、令和3年に一時的に例年と比べて売上も所得も大きく増加しそうだ、ということが令和3年の2月(来年度の2年前納の締め切り)時点である程度判明しているようなときです。