裁定売り残高が約2.5兆円まで拡大、投機筋の売り建てが積みあがる

 裁定買い残高だけでなく、裁定売り残高の推移も同時に見る必要があります。詳しい説明は割愛しますが、裁定売り残の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「売り建て」の変化が表れています。売り建てが増えると裁定売り残が増え、売り建てが減ると裁定売り残が減ります。

日経平均と裁定売り残の推移:2018年1月4日~2020年5月22日(裁定売り残は2020年5月15日まで)

出所:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 2020年5月15日現在、裁定売り残高は、約2.5兆円まで積み上がっています。投機筋が、日本株に弱気で、日経平均先物の売り建てを積み上げていることが分かります。

 注目すべきは、5月15日時点で裁定買い残高が3,427億円しかないのに、裁定売り残高が、2.5兆億円まで増えていることです。売り残が買い残より2兆円以上、大きくなっています。投機筋が、日本株に弱気で、日経平均先物の空売りを積み上げていることが分かります。

日経平均と裁定買い残・売り残の推移:2018年1月4日~2020年5月22日(裁定売り残・買い残は2020年5月15日まで

出所:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 これはとても珍しいことです。通常は、裁定買い残高が裁定売り残高よりも1兆円以上大きいからです。外国人の投機筋は日本株にかなり弱気であることが分かります。