売買代金ランキング(5銘柄)

1 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 新型コロナウイルスの純国産ワクチンの開発へ想いを寄せ、株価は天にも昇るような勢いで急上昇(天に昇った株はいまだかつて存在しませんが)。これまで9月をメドとしていた臨床試験(治験)について、動物試験の進捗が順調なため8月実施へ繰り上げるようです。アンジェスのワクチンが医療現場で使われる日を誰もが待ち望んでいます。

 4月は急騰しましたが、売買量も尋常ではない高水準でした。この点を踏まえると、治験の開始や治験結果を先取るというより、急激に跳ね上がった流動性に着目して短期資金が集まった側面が大きそう。とくに、米ギリアドの「レムデシビル」などと違い、治験結果の成否に気を揉むような段階では無い(=治験失敗による急落リスクが今は無い)ことも大きかったように思われます。

2 サイバーセキュリティクラウド(4493・東証マザーズ)

 4月に起きた直近IPO株バブルのシンボルストックでした。上場したのは3月26日。AI技術を活用したサイバーセキュリティサービスの開発・提供を主力とする企業です。3月末終値は9,840円でしたが、これが21日に付けた高値45,050円に向けて一時4.6倍に爆騰したわけですから驚愕。

 直近IPO株人気がヒートアップするなか、テレワーク増加でセキュリティー対策の需要が増えるとの思惑があったようです。買うから上がる、上がるから買う…さらに言えば同社株の場合、株価が“値がさ化”したため、小口投資家の参戦が少なくなった点も需給を引き締めたように思われます。上場来高値を付けたタイミングでは、時価総額が(瞬間的にですが)1,000億円を突破。今期予想売上高11億円程度の会社が時価総額1,000億円超…バブルでしたね。

3 メドレー(4480・東証マザーズ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、初診患者にもオンライン診察が解禁されました。クラウド診療システム「CLINICS」などを手掛ける同社は、“遠隔医療”の関連銘柄のトップピックとして人気化。17日には新規事業としてオンライン服薬指導支援システムの9月開始を発表、翌20日には上場来高値を3,645円まで切り上げました。

 ただ、月下旬は一貫して利益確定売りに押される展開へ。「日本国内の新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向になると売られる」との見方も。また、月末にかけては、同社の営業手法に対して現場の医師から疑問の声が挙がっているとの記事を一部週刊誌が掲載。これも短期的には売り材料になったとか?

4 出前館(2484・ジャスダック)

 外出自粛で外食が控えられたほか、休業要請に応じた飲食店も多数出ました。これで特需が生まれたのが、料理宅配サービス。報道によると、7日の緊急事態宣言後に、同社が手掛けるデリバリーサイト「出前館」の利用者は6割も増加しているようです。

 出前代行業者への支援策を決める自治体が出始めるなど、関連ニュースが相次ぐなかで同社の株価も大きく上昇。月後半は利食い売りに押されましたが、「緊急事態宣言が1カ月程度延期される方向」と伝わった月末にかけては再浮上。宅配特需がいつまで続くか? 今後の株価の焦点もそこだけですね(緊急事態宣言の解除は売り材料になる)。

5 UUUM(3990・東証マザーズ)

 2日に鎌田社長が「こんな世の中の状況を吹っ飛ばすレベルのものをちゃんと仕込んでいる」と意味深なツイート。思惑で株価も急騰したのですが、翌4日以降は梯子を外され、またしてもダウントレンドに。引き金は、UUUM所属の美容系ユーチューバーとして人気の関根りさ氏の独立発表でした。所属する人気ユーチューバーの脱退、これが足元まで続いたUUUM株の売りカタリストです。14日引け後には、今期の業績予想を下方修正。純利益予想を半減以下に減額し、前期比55%減の4億円を見込むとしました。

 最悪のムードを漂わせていた同社株でしたが、28日に吉本興業との業務提携を発表したことで一変。翌30日、31日と2日続けてストップ高しました。これが、鎌田社長のツイートした“こんな世の中の状況を吹っ飛ばすレベルのもの”だったのでしょう。吉本興業に所属するタレントのユーチューブチャンネルの共同運営などで協業するようです。