4月に入ってから、外国人は買い越し?

 コロナ・ショックの暴落を引き起こしたのも、外国人投資家です。2月25日から4月3日まで、外国人は、株式現物と日経平均先物を合わせて3兆9,305億円も日本株を売り越しました。

 ただし、4月6日以降、日本株を買い越しに転じている可能性もあります。まだ売買統計は出ていませんが、日経平均1万9,500円超えを演出したのが外国人だった可能性はあります。

 ただし、外国人がこれで買いトレンドに入ったとは考えられません。しばらく、外国人は売ったり買ったり、はっきりとした方向感のない売り買いになると考えています。どういう外国人が買い、どういう外国人が売るでしょうか?あくまでも推定ですが、私は以下のように考えています。

しばらく買うと予想される外国人マネー

【1】日経平均先物主体に動く短期マネー

 4月3日時点で、裁定売り残高は1兆6,045億円、裁定買い残高は6,466億円です。詳しい説明は割愛しますが、裁定残高を見ると、投機筋の先物売り建てが、先物買い建てよりも、1兆円近く大きいと推定されます。日経平均先物を売り建てている投機マネーには、外国人が多いと考えられます。

 3月19日に1万6,552円まで下がった日経平均は、4月14日に1万9,638円まで急反発しています。先物を空売りしている投機筋は、日経平均の急反発で踏み上げに合っていることになります。これ以上、損失が拡大しないよう、今後は買い戻しを急ぐ可能性もあります。

【2】恐怖指数が上昇すると売り、恐怖指数が低下すると買うマネー

 恐怖指数を見ながら株式などリスク資産の組入比率を上げ下げするようにプログラムされた投資マネーが、現在、世界中にたくさんあると推定されます(リスク・パリティ戦略と呼ばれる)。やり方は、ファンドごとに異なりますが、総じて、恐怖指数が上昇すると株を売り、恐怖指数が低下すると株を買うようにプラグラムされています。

 3月19日まで恐怖指数が急上昇する中、リスク・パリティ戦略をとる投機資金は、株式をどんどん売ってきたと考えられます。ただし、3月19日以降は、恐怖指数は徐々に低下してきています。リスク・パリティ戦略による株式の売りは、もう出にくくなっていると考えられます。ここからさらに恐怖指数が低下すれば、買いに転じる可能性もあります。

 日本株で「恐怖指数」と呼ばれている指数は存在しませんが、日本経済新聞社が計測して発表している日経VI(ボラティリティ・インデックス)が、事実上の恐怖指数です。以下のように推移しています。

日経平均と日経VI(ボラティリティー・インデックス)推移:2018年1月4日~20年4月14日

出所:日経QUICKより楽天証券経済研究所が作成 ©日本経済新聞社