パニックは収まりつつある。日経VI(ボラティリティー・インデックス)は40近くまで低下
日本株を動かしているのは、外国人投資家です。特に、先物を駆使して売買する短期筋が大きな力を持っています。
外国人投資家が、注目している強弱材料は、以下と考えています。
【弱材料】
◆日本および欧米で、感染者の拡大が続いていること。
◆感染を抑えるための経済封鎖で、世界の景気・企業業績が急激に悪化していること。
【強材料】
◆世界各国が協調して、「何でもあり」の巨額経済対策を出してきていること。
◆新型コロナの「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が進み始めていること。
◆早くに外出禁止を打ち出した中国・イタリアなどで感染がピークアウトしつつあること。
外国人投資家による日本株の「パニック売り」は、徐々に収まっていくと予想しています。株式市場での「恐怖」が低下しつつあるからです。それが、「恐怖指数」と言われることもある日経VI(ボラティリティー・インデックス)の動きに表れています。
詳しい説明は割愛しますが、日経VIは、日経平均オプションなどのデータから日本株市場での「リスクへの警戒」がどの程度高まっているか、日本経済新聞社が計測して指数化したものです。
日経平均と日経VI(ボラティリティー・インデックス)週次推移:2018年1月4日~20年4月7日
恐怖指数とも言われることがある「日経VI」は、日経平均が急落する局面で上昇します。通常は20くらいで推移していますが、コロナショックで日経平均が暴落すると、恐怖心理が一気に高まり、一時58.5まで上昇しました。
ただし、4月に入り、日経平均が急反発してから低下しています。7日には、40.1まで低下しました。
世界には、この「恐怖指数」の動きを見ながら、トレードする投機マネーがたくさんあります。恐怖指数が上昇すると株式を売り、恐怖指数が低下すると株式を買うように、設計されています。日経VIが急上昇する局面では、そうした資金からの先物売りが出たと推定されます。今後もし、日経VIが40以下に低下すれば、経験則では、投機マネーから日経平均先物の買い戻しが出る可能性もあります。
詳しい説明は省略しますが、東京証券取引所が発表している裁定売買残高の変化に、投機筋の先物ポジションが表れています。3月27日時点で、裁定買い残7,008億円に対し、裁定売り残は1兆6,180億円と、売り残が買い残を大きく上回っている状態です。投機筋が、日経平均先物の売り建てを積み上げている状態であると考えられます。
今後、さらに日経VIが低下すれば、先物の買い戻しが出やすい状態と考えられます。