コロナ・ショックで原油が暴落、「原油安ショック」が世界景気の不安材料に

 2月以降、コロナ・ショックで世界中の株が急落しました。ただ、急落したのは株だけではありません。原油も急落しています。年初1バレル60ドル前後で推移していたWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物(期近)は、3月30日には20.1ドルまで下落しました。たった3カ月で3分の1になる暴落です。原油安を受けて、株式市場では資源関連株が売られ、さらに株安が進む悪循環となっていました。
 今の世界の株式市場で、「原油安は株安」、「原油高は株高」材料となっています。なぜならば、あまりに原油の下落スピードが速いために、原油安ショックで世界景気が悪化する懸念が強まっているからです。原油安が、原油輸出国だけでなく、原油輸入国の景気・企業業績にもマイナス影響を及ぼす懸念が出ています。

 資源安は、資源を輸入する日本経済に本来プラスですが、短期的には、日本でもマイナス効果が先行します。海外に資源権益を多数保有する大手総合商社では、高値で購入した資源権益の減損が再び増える懸念があります。また、高値の原油在庫を保有する石油精製会社では、在庫評価損の拡大が、業績を悪化させる見込みです。すでに、資源安を受けて、丸紅(8002)、JXTG HD(5020)などが前期(2020年3月期)の業績見通しを大幅に下方修正しています。

 大量のエネルギー消費国である米国でも、急激な原油安が、短期的にマイナス効果を及ぼします。シェールガス・オイル産業で破綻が増える懸念があります。