先週出た好材料

 新型肺炎にばかり目が向いていましたが、先週は、いくつか注目できる好材料もありました。

【1】中国が対米関税を一部下げ

 中国政府は6日、2019年9月に米国製品に発動した最大10%の関税を、14日より半分に引き下げると発表。

 米中対立で景気悪化に苦しむ中国が、新型肺炎の追い打ちもあって、対立をさらに緩和させる方向に動いていると考えられます。

【2】トヨタ・ソニーが業績予想を上方修正

 10~12月の決算発表がピークを過ぎつつあります。先週は、トヨタが四半期決算を発表するとともに、2020年3月期の連結純利益予想を2,000億円引き上げ、前期比25%増の2兆3,500億円としました。世界の自動車販売が2年連続の減少となり、世界の自動車大手の業績が軒並み悪化する中、トヨタの底力を示した決算となりました。

 ソニーは、2020年3月期の営業利益の見通しを、400億円引き上げ、前期比2%減の8,800億円としました。画像センサー(半導体)の好調が上方修正要因となりました。新型肺炎で中国の生産が滞る影響は織り込んでいないものの、業績トレンドは上向きになりつつあることがうかがえます。

【3】中国人民銀行が1兆2,000億元の資金供給を発表

 中国人民銀行は2日、春節明けから、1兆2,000億元の巨額の資金供給を行うと発表しました。新型肺炎で経済にダメージが及ぶのを、金融面から支援する方針です。新型肺炎を受け、緩和的な金融政策を取る動きが世界的に広がりつつあることが、株価を支える要因となります。

【4】米国の製造業景況感が改善

 米ISM供給公社が発表した、1月の製造業景況指数は50.9と、大幅(+3.1ポイント)改善し、景況感の分かれ目の50を超えました。武漢発の新型肺炎の影響はまだ出ていないものの、その影響を除けば、世界的に製造業の景況が持ち直しつつあることがわかります。

 

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