株式市場は何でも先取りで動く。半年後に新型肺炎への恐怖は終息?

 最初に、新型肺炎と闘う全ての方々にお見舞い申し上げます。また最初に誤解なきように申し上げますが、私がここでお話しすることは、あくまでも「株式市場での新型肺炎への反応」に関することだけです。新型肺炎への現実の脅威は、簡単には無くならないし、引き続き十分な警戒が必要なことは言うまでもありません。

 私は、株式市場では、新型肺炎への恐怖は既にピークアウトした可能性もあると考えています。株式市場は、何でも先、先と織り込んで動くからです。たとえば、景気循環に対し、半年から1年、先んじて動きます。景気が悪くなる半年から1年前から、株は天井をつけて下がり始めます。逆に、景気が良くなる時は、その半年から1年前に、底打ちして上がり始めることが多いと言えます。

 新型肺炎の影響についても、株式市場は、半年から1年くらい先取りして動いていると思います。2002~2003年のSARS流行、2014年のエボラ出血熱流行の時、感染拡大で世界景気が悪化する懸念から世界的に株が下がりました。ただし、株式市場での恐怖は、現実の脅威が終息する半年から1年前に終息しています。今回の新型肺炎も、同様になると考えています。

 武漢で発生した新型肺炎への恐怖は、今どんどん高まっているところですが、今から半年後、どうなっているでしょうか?半年後に、実際の脅威が低下していると仮定すると、株式市場はそれを先読みして動いていると考えられます。

 今、新型肺炎についてわからないことが多すぎるため、恐怖が拡大しているところです。それでも遅くとも半年後には、さまざまなことが分析され、解明されているはずです。

 たとえば、半年たつ内には、治療方法も見いだされていると考えられます。今、治療方法が確立していないので、恐怖が強まっています。ただ、先週あたりから、いくつかの抗ウイルス剤が治癒に有効という話が出てきています。いち早く、感染者と治癒方法が確立することを願いたいところです。

 今、感染者数の拡大が急ピッチなので恐怖が高まっています。ただし、いずれ、感染者の拡大ペースは縮小してくると考えられます。潜伏期間が9日程度と考えられており、十分な感染対策をとれば、その2週間後には、感染拡大が減少に向かうはずです。遅くとも、気温と湿度が上がる初夏までには、感染拡大が鈍化すると考えられます。

 今、中国の製造業に操業停止が出ていることが世界の製造業に悪影響を及ぼすことが懸念されています。短期的には、生産が止まる分、業績が悪化する可能性があります。ただし、その業績悪化は一時的となる可能性があります。

 世界の製造業は、生産がストップした分、一時的に「予期せぬ在庫減少」に見舞われることになります。もし数ヶ月以内に、生産が正常に戻るならば、そのときは、通常以上の生産が必要となります。そうなると、一時的に通常以上に業績が押し上げることが考えられます。株式市場が織り込み始めているのは、そのことだと思います。

 これから、景気・企業業績への悪影響を示す指標がいろいろ出てくると思いますが、株式市場は、はやばやと危機後の影響を織り込み始めている可能性もあります。危機が去れば、今不足しているマスクは、逆に余剰になると考えられます。したがって、今、新型肺炎の流行で買われている「マスク関連株」を買うと、高値づかみになる可能性があると思います。逆に、新型肺炎の流行で売り込まれているインバウンド関連株の中には、買い場を迎えつつあるものもあると思います。