「面倒くさくない!」お金の管理法

 この「人生設計の基本公式」は、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ氏と筆者の近刊予定の共著『そこ、ハッキリ答えて下さい!「お金」の考え方 このままでいいのか心配です。』(日本経済新聞出版社刊)を作る際にできたもので、命名者は岩城氏だ。

 この公式には、「必要な貯蓄ができるような家計なら、お金について“面倒くさいこと”は考えなくとも、大いに人生を楽しんでいい!」という、「面倒くさい」が大嫌いな岩城氏の考え方が背景にある。要は「必要な貯蓄」すなわち「稼ぎのうち、今使っていい金額」がしっかり管理できていればいい、という考え方だ。支出の配分や、節約法は、個々に考えたらいい。大枠を押さえておけば、後は個々人の自由でいい。

 そして、冒頭にも述べたように、資産運用は誰でも共通の方法で行うことができるし、その結果を、都度都度「人生設計の基本公式」に反映させればいい。

 このように単純化すると、お金に関する限り人生はシンプルであり、後は、人生をいかに充実させるかに励むといい。お金で悩むのは、つまらない。

【追記】

「人生設計の基本公式」は、”稼いだお金で生活する”普通の人がお金の生活設計を考える上で大変便利です(資産が巨額で所得ゼロでも生活できるような人には不向きなことが、その後分かりました)。手前味噌ですが、条件を変えながら何度も自分で計算し直してお金について考えられるところが優れています。無料で相談できて、隠し事をしなくていいFPを雇ったようなものだと思ってください。

「2000万円問題」では、平均のケースの試算だけを見せるのではなく、この式の使い方を普及させてほしかった。

 最新の説明は、岩城みずほ氏と私の共著『人生にお金はいくら必要か<増補改訂版>』(東洋経済新報社刊)に詳しく載っています。 

(山崎元)