景気ウオッチャー調査のトレンドは右肩下がり…

 内閣府は景気ウォッチャー調査で、企業や店舗の経営者・従業員に身の回りの景気や先行きの景気などの調査をしています。景気を5択(現状判断であれば、良い、やや良い、どちらとも言えない、やや悪い、悪い)で質問し、各回答の割合に点数をつけて合計した数値を公表しています。例えば、全員が良いと回答すれば100、全員が悪いと回答すれば0になります。

▼景気ウォッチャー調査(景気の現状判断DI、季節調整値)の推移

(出所)内閣府「景気ウォッチャー調査」より筆者作成。

 景気ウォッチャー調査のグラフは10月までの数字です。景気の現状判断DIの推移では、消費税増税前の駆け込みと反動減の影響がある姿が見て取れます。2014年4月の消費税増税に比べると、増税幅が2%と小さかったことや、キャッシュレス・消費者還元制度で支出額が抑えられたことから、前回よりは下げ幅は小さいですが、景気動向指数と同様に、2018年から悪化傾向が続いています。

▼景気ウォッチャー調査(景気の先行き判断DI、季節調整値)の推移

出所:内閣府「景気ウォッチャー調査」より筆者作成。

 10月の景気の先行き判断DIでは、家計動向関連(小売、飲食など)や企業動向関連(主に製造業、非製造業)の経営者や従業員は先行きの改善を見込んでいますが、雇用関連は引き続き悪化すると判断しています。

 雇用関連は人材派遣会社やアウトソーシング企業の社員、求人情報誌制作会社の編集者、新聞社(求人広告)担当者、職業安定所職員などを対象に調査しているので、公共職業安定所(ハローワーク)の登録を基に作成される有効求人倍率だけでは拾えない現場の実態を反映している面があります。雇用が改善しないままでは、経済はジリ貧です。

 株価は目先の景気だけでは決まらず、将来の期待を反映するので、適正水準の判断は極めて難しいと言わざるを得ません。米中交渉の帰すうが最重要視されるでしょうが、国内でも政治リスクや補正予算の規模など不透明な要素が多々あります。大事なボーナスをどう使うか。熟慮すべき局面かもしれません。