米中対立エスカレートの不安再燃?10月15日の関税引き上げは実施される?

 米中対立の根は深く、抜本的解決は考えられません。合意があるとしても、部分的合意に留まる見込みです。

 先週、不安が再燃する兆しが少しだけ見えました。19日に再開された米中次官級の貿易協議ですが、中国の協議団は、予定を早めて20日に帰国しました。当初予定していた米農場の視察が取りやめとなりました。

 20日にトランプ大統領は、「部分合意では不十分、完全合意が必要。大統領選前に合意する必要はない」と発言しました。「部分合意でもかまわないので合意を目指す」としていた発言を事実上撤回した形で、株式市場での早期合意期待が後退しました。

 米政府は、「10月には予定通りワシントンで米中の閣僚級協議を開く」としていますが、合意に向かって交渉が進む期待はやや低下しています。

  米政府は、10月15日に、中国への制裁関税の引き上げを予定しています。これは当初10月1日に予定されていたものですが、中国の重要な国家行事の最中の引き上げを回避し、15日に延期するとしたものです。協議がまとまらず、15日に関税引き上げがあると、米中対立はさらに泥沼に落ちるリスクもあります。10月15日の関税引き上げが回避できるか否か、今後、慎重に見守る必要があります。