トランプ大統領の発言に振り回されてきた株式市場

 過去2年、世界の株式市場は、トランプ・ショックに何度も見舞われてきました。トランプ大統領が対中制裁強化を発表すると、米中対立がエスカレートして世界景気を悪化させる不安から、世界的に株が下がりました。トランプ大統領が中国に融和的な発言をすると、不安が緩和し、世界的に株が上がりました。

 日経平均も、トランプ発言に振り回され続けています。

日経平均株価の動き:2017年12月末~2019年9月20日

 上は、過去2年の日経平均の動きを表しています。この間、トランプ・ショックによる急落局面が5回ありました。世界景気は、2018年は好調でした。ところが、18年末から19年にかけて世界的に景気が悪化しつつあります。日経平均はそれらの材料に反応して動いています。

 簡単に、2018年以降の流れを振り返ります。

【1】2018年1~11月の日経平均
 2018年は、「世界まるごと好景気」から始まりました。景気・企業業績が好調であることが、日経平均および世界の株価にとって強材料となっていました。一方、米金利上昇と、貿易戦争が激化する不安が、世界的に株の上値を抑えていました。2018年1~3月は、米長期金利が3%に近づいたことを嫌気して、NYダウが急落。ツレて世界的に株が下がりました。貿易戦争激化の不安がそれに追い打ちをかけました。

 2018年4-9月は、貿易戦争・金利上昇の不安が緩和する中で、世界的に株が上昇しました。ところが、10月から、米長期金利が3.3%を超えてきたことを嫌気して、再び世界的に株が下がり、日経平均も急落しました。米中対立が激化する不安も高まりました。

【2】2018年12月~2019年9月の日経平均
 2018年12月に日経平均は一段安となりました。米中対立が激化する不安は同じですが、もう一つの不安材料が異なります。米金利低下で、金利上昇の不安は無くなりました。代わって、世界景気悪化が新たな不安材料として、クローズアップされました。貿易戦争は、米中のハイテク覇権争いに発展していました。